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好みの話じゃなくて、好きの話

 

夏の夜というのは、どうしてこうも、おセンチなメンタルになってしまうのだろうか。

今日はどうしても誰かと話したくて、というか、誰かに会いたくて、人の顔を見たくて、午後7時、行く当てもないのに日が沈みきらない外へ出た。いや、正確に言えば、日は沈んでいたんだと思う。それなのにまだ外は明るくて、夏の太陽が持つ力をひしひしと感じた。

 

つい一週間くらい前、バイトが終わったあとに、友達と友達と友達と先輩と知り合いと私の6人でお酒を飲んだ。結局朝方まで飲み倒したあと、どんな流れか覚えていないけどそのままカラオケに行って、帰宅するときにはスーツや制服を着た老若男女にゴミを見るような目で酷く疎まれたことが飛び飛びの記憶の中に残っている。その日の朝日は今までで一番眩しく感じて、私は生まれて初めて夏を呪った。

 

家を出たあと、ただなんとなく歩きながら捕まりそうな友達に連絡を入れる。と、言っても、実際に連絡したのは三人だけ。浮かぶ顔はあれど、自分から誘うことができない人が大半だった。三人中二人からは「無理」と返事が来て、一人は既読すらつかない。男の子の顔が浮かんだあたりから考えることを止め、蒸し暑さに耐えきれなくなったので近くの大きな書店に逃げ込んだ。文庫本コーナーで適当に本を物色していると、既読もついていなかった友達から「いけるよ」と。嬉しくてすぐに連絡を返し、駅前で合流してから初めて行く焼き鳥屋に向かった。

一日ダラダラしたあとのビールは格別に不味い。バイト後に飲むそれが美味しく"感じる"のは、やっぱり喉が渇いているからなんだろう。私はまだまだガキなのかな。温くなって炭酸が抜けると尚更不味くなることはわかっているので、ポテトフライをつまみながら無理矢理喉に流し込んだ。早く、大人になりたい。一足先に社会人となった友達は、レモンサワーを飲んで職場の愚痴を吐いていた。それを聞きながら、それでもなお早く仕事がしたいと言い張る私は本当に子どもみたいで、家に帰ってきた今でも、情けないというか、憤りを感じている。

別に今すぐ社会に出て働きたいとは思っていない。ただ、夢も目標も何もなく、漠然と大学生活を送っている自分が嫌なだけ。自分を卑下することが板についた。照りつける朝日に背を向けた。これが助けてくれたことなんて一度もないのに、性懲りもなくまた音楽を再生してしまう自分を、そのまま朝を迎えることを、カーテンが遮った日差しを、覚える、夏。ぐずついているだけの私を、一瞬で追い抜かすのはやめてくれないか。

 

せめて今、この曲が終わるまでは、外が明るくなりませんように。 相対性理論 - ミス・パラレルワールド