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好みの話じゃなくて、好きの話

5/28(fri) F.A.D YOKOHAMA CRYAMYを見た

 

【MV】誰そ彼 / CRYAMY - YouTube

誰そ彼のMVに、横浜の中華街が映っている。映ってるというか、撮影地になってる。神奈川県で育った私が酸いも甘いもありとあらゆる現場を経験した町がこの横浜で、F.A.Dがある石川町はもちろん、中華街も、関内も、桜木町も、みなとみらいも、馬車道も、小汚い横浜駅周辺も、それに、そういう栄えた場所だけじゃなくて、戸塚区も青葉区港南区港北区も、本当すべてに思い出すことがあって、毎回下北沢や知らない東京のライブハウスに足を運んでいた私からしたらF.A.D横浜なんて隣の家くらいの感覚だった。そして私の大好きなCRYAMYが、そういう私にとって当たり前であり、そして特別でもある場所でライブをする。素直に嬉しい。本当に心から嬉しい。そうやってF.A.D横浜に向かったのはこれで3回目のこと。それがCRYAMYのリリースツアーだというのだから、勤務後の重たい心身を差し引いてもなお、今までで一番気持ちが晴れやかだった。

まあ、とはいえ、最近は本当に疲れていて、新生活が始まって慣れない環境に心が追いつかないというのがこの疲労の大半ではあるけど、とくにこの日は何故か腰が異様に痛くて、座っても痛い、立っても痛い、歩いても痛い、なんて有様だった。(この腰痛はライブ翌日、その次の日、そしてこれを書いている今日、いま、この瞬間も全然治っていないし、たぶん明日も明後日もずっと痛い)CRYAMYのライブは1月に渋谷O-WESTであったワンマンライブ以来で、半年弱ぶり、くらい。このご時世でも、なんだかんだCRYAMYはしっかりライブをしている(ように感じる)けど、関東圏外とか予定が合わないとかシンプルにお金がないとかでこんなに時間が経ってしまっていた。でも、そのあいだに一度だけカワノさんの弾き語りを見に行ったんだけど、そのときに聴いた誰そ彼が本当に良くて、なんというか、中華街の看板とか、なんかよくわからない横浜の繁華街とか、この文章を書くにあたって、そういう風景に全然マッチしないその日の誰そ彼をふと思い出して、なんとなく、冒頭に誰そ彼と横浜のことを書いた。なので本題とはあまり、いや、実際まったく関係無い。前置きだけで1000字を超えてしまいそうな回りくどさ、それが本題から大きく逸れている的の得なさ、まあ、とりあえず、ここから上の部分を消すか残すかは後から考えるとして、この日の興奮が冷めないうちに、ライブのことを書き留めていこうと思います。

今回はセットリストを結構把握している!けど、間違えたら恥ずかしいのでTwitterで誰かしらが載せているものを拝見しながら書いていきます。

 

F.A.D横浜に着いたのは、開演時間の17時半、少し過ぎ。入り口前にたむろする若者に、うわうわ、なんて思いつつ、チケットとドリンク代を差し出して中へ。もうバロンドールの演奏が始まっていたので、前から埋まっている群衆の一番後ろにくっついて鑑賞。正直、バロンドールの良さ、いまだわからず。ちゃんと聴いたら結構好きかもしれない、みたいな曲もあったんだけど、なにせ腰痛が酷くてあまりライブに集中できず、腰へのダメージが少ない立ち方を模索していたら終わってしまっていた。バロンドールは一昨年の夏にデイジーバーでCRYAMYと対バンした「地獄めぐり」以来、2年ぶり2回目。このときは本当に良さがわからなかったけど、今回はちょっと、気になるかも、という感じだった。AppleMusicにあるみたいだから今度聴いてみようかな。そういえば音源って聴いたことなかったし。

バロンドールが終わったら、ドリンクを交換してレッドブルを持ち少しだけ前へ。レッドブル、美味しいよなぁ。久しぶりに飲んだ。オロナミンCは好きだけどリポビタンDは微妙で、レッドブルは好きだけどモンスターは飲んだことすらない。あ、話が逸れそう。とにかく、レッドブルを飲んでインスタグラムを眺めながら、CRYAMYの出番を待った。18時半過ぎ、せこせこと準備をしていた4人が捌けて、会場が暗くなる、と同時にジョイディビジョンのSE、タカハシさんオオモリさんフジタレイさんが登場したあと、少し遅れて出てきたカワノさんが腕をブンブンと振り回し、一曲目、いざ、テリトリアル。この一曲目のテリトリアルと二曲目のディスタンス、初っ端から出し惜しみのない感じがして、なんというか、すごく、・・・カッコよかった。ああ、もっと私に語彙があればあの感じをもう少し的確に言葉にできるのに、結局「カッコよかった」と言ってしまう。なんか最近、CRYAMYの新譜(赤盤って呼び方めちゃくちゃ素敵)ばかり聴いているからか、シャープ2の曲を聴くとすごくシンプルに感じて、良く言えばわかりやすい、悪く言えば至極普通に思えてしまう。でも、その「普通さ」を備えたカッコよさが私が思うCRYAMYの良いところで、べつに曲自体に奇抜なところはないし、最近よく耳にするオシャレボカロみたいな感じや不誠実をウリにしようとするような歌詞もないけど、その代わり、きっとずっと昔からある、バンドに対する「カッコいい」を臆せず怯まず音とメロディーにしている。最初の2曲を聴いているとき、その、きっと4人も聴いてきたのであろう「カッコいい」を信じて堂々と鳴らし続けるCRYAMYが、やっぱり一番素敵だと思った。

「普通」、最近ずっとライブで聴きたいな〜と思っていたからやってくれて嬉しかった!この日一番周りの反応が良かった感じがしたのがtenだったんだけど、「普通」はその次に周りのテンションがよく上がっていた感じがした。この曲、イントロからサビ前がすごくカッコいいからなおさら。でも、この日私が一番ガツンときたのは普通の次に演奏されたギロチンだった。もともとこの曲は、もう結構前、まだカワノさんのサウンドクラウドに月面旅行やsonicpopがあったとき、私がサウンドクラウドを聴き始めたときからずっとあって、その頃からこの曲は、物臭とかディレイみたいな、それと似たような雰囲気があった。ずっと弾き語りで聴いていたのもあってバンドではどんな感じなのだろうと新譜で一番楽しみにしていたし、初めてそれを聴いたときは、なんか、もう、普通にめっちゃ良かった。でもライブのほうがもっと良かった。「君は生きたほうがいい 綺麗な顔をしてるから」という歌詞がすごく好きだ。「綺麗な顔」という表現にその人の心や内面まで含まれている気がして、本当に素敵。あと、物臭とディレイもそうなんだけど、こういう曲はライブで、音で化けるんだなぁと実感。音源からは決して出てこない爆音、普通に翌朝まで続くほどの耳鳴りが起こるくらい、それはもうただただデカくて、うるさくて、気持ちいい。本当に良かった、ギロチン、また聴きたい、名曲だ。

ギロチンのあと「雨」を演奏して、カワノさんが少し長めのMCを展開。また話が右往左往していて、まとまらないながらもひとつひとつ言葉を選んでいく姿がなんだかすごく懐かしかった。だってCRYAMYのライブ、約半年ぶりだし。それに前の渋谷のワンマンのときは、なんかすごく頼もしくなったなって感じるほど、カワノさんは結構スラスラと話していた記憶がある。いや、ずっと頼もしくはあるんだけど、大人になったというか、大きくなったというか、なんというか。でもこの日のライブは、今までみたいに、たとえばYouTubeに上がっている「世界」のライブ映像の冒頭のような、まとまりもなくて不確かだしトゲもあったけど、でも何よりも優しく丁寧に言葉を紡いでいく健気さが見えた。カワノさんの言葉をそのまま覚えているわけではないんだけど、「誰かに毒を吐くようなことばかりだし、今からやる曲もそういう曲だけど、これはあなたたちの曲だから」と、そういうことを言ってた。いや、うーん、本当はもっと違う言い方だったけど、ギリ思い出せない、昨日くらいまでは覚えていたんだけどな。でもまあ、ニュアンスは、こんな感じ。そして、HAVENへ。いや、本当にね、まじで、堪らなかった。この日の私の一番はギロチンだったんだけど、でもHAVENは、この日のライブと、red albumと、そしてここ一年くらいのCRYAMYの中で中心というか、核だと思った。渋谷ワンマンのときもそう。実はYOURSONGを聴いているときはHAVENに対してそこまでの熱はなくて、YouTubeにMVが上がったときや新譜を聴き始めたときも「ただ聴いてる」という感じだったんだけど、徐々に、本当に徐々に徐々に、この曲のヤバさに気づいてきた。今だって歌詞もメロディーも特別好きというわけではないのに、聴きたくなるし、しばらくはライブでやってほしい。とくにこういうCRYAMYの企画では、必ず。直前のMCも相まって、拳と足先と心臓がぎゅってなる。顔を伏せたり前を見たり、目を閉じたり開いたりしながら、叫びにも聴こえるカワノさんの歌声をただじっと聴く。すごく新鮮だった。いやまじで忘れられない、あの感覚…。そのあとは月面旅行プラネタリウムそしてtenの追い討ちだったんだけど、ずっとHAVENが頭の片隅にあって、やっぱりCRYAMYは強いなと思っていた。それにしてもtenは本当に良い曲だ。ライブでtenをやらなかった日なんてあっただろうか。初のフルアルバムの一曲目を担うというのはそういうことなんだ。なんか、普通に久しぶりのライブだから忘れていたけど、これはred albumのリリースツアーだった。そう思うと「やってらんねー」とかも聴きたかったな、あれ、好きなんだよな。でも、そうだな、ここはやっぱり、おめでとう、と言うべきだ。CRYAMY、初フルアルバム、ありがとう。違う、おめでとう!私は本当に超シンプルに死ぬほど素直に嬉しかった。このコロナ禍で、前に進むCRYAMY、まあ自分がダメダメなときはちょっと待っててよって思ったりもするんだけど、総じて、カッコいいです。いつもカワノさんは、自分が大切に作った曲を、こういうライブで、なんやかんやと言いつつ大切そうに見せてくれるから、だから私もその曲が大切になる。なんか久しぶりにそう思った。懐かしい、感じがした。

アンコールの手拍子に誘われて、まず、タカハシさんが出てくる。カワノさんのMCよりタカハシのMCのほうが良く覚えてる。私も神奈川の人間なので、来てくれて嬉しい。タカハシさんが(体感では結構、思ったより長く)話したあと、他の3人が出てきて、カワノさんがまた少し喋り、「あと3曲やって終わります」と言い放ち、アンコール開始。完璧な国、まほろば、世界の3曲だった。カワノさんはまた腕をブンブンと振り回していた。なんか、これ、この日要所要所でやっていた気がする。

完璧な国とまほろばはなんとなく予想していたんだけど、世界が来るとは思っていなかったので少し驚き。戦争だと思ってた。世界、本当に好きだ。CRYAMYで一番好きな曲を考えたとき、思い出や思い入れを抜きにしたら多分この世界が一番だと思う。思い出・思い入れというのは、初めてテリトリアルを聴いたときの衝撃とか、怠惰極まりない生活の中でずっとディスタンスを聴いていたとか、そういう類いのやつ。でも「世界」にはそれに負けずとも劣らない光があって、私は、ライブで初めてこの曲を聴いてからもうずっとこの光に当てられている気がする。「あなたが」ってサビの4文字、やっぱりすごい。わたしはわたししか大切じゃない。わたしはわたしを大切にしてくれる人しか大事じゃない。誰にも相手にされなくても、わたしはわたしを愛さなきゃいけない。そういう、残酷な光。でも、それ見せてくれたCRYAMY、やっぱり一番カッコいいや。

終演後は、ライブ中無意識のうちに握りしめてバキバキになっていた空のレッドブルをゴミ箱に投げ捨てて、すぐにF.A.Dを出た。帰りは元町中華街のほうから帰宅。みなとみらい線って、なんか高い。その高額な交通費をケチって新高島から反町まで歩いた高校生の頃のことを少し思い出した。横浜には数え切れないほどの思い出がある。酸いも、甘いも、嬉しいも、悲しいも、死ぬほど幸せな瞬間も、死ぬほど辛い瞬間も、全部ある。たぶん、カワノさんにも、ある。だって、初めてF.A.Dでやってときだったかな、「横浜で作った曲だけでやった」ってインスタかなんか、MCかな、で言ってたから。絶対に交わっていないような思い出が、この日はどこかで交わっていたというか、同じというか、似ているというか、きっとそういうものがあるんだと思った。やっぱりCRYAMYって超素敵だな。横浜、来てくれてありがとう!

 

リリースツアー前半は横浜だけだけど、後半はどうしようかなと迷い中。ファイナルの渋谷は行くつもりだけど、他のライブは、遠いし、行ければいいとは思うけどあまり現実味がない。まあ、他にライブがないわけじゃないし東京付近でやってくれるなら無理して遠くに行く必要ないのかな…、でも行きたいね〜。

いつも東京でライブをしてる(最近は東京以外も多いけど)CRYAMYが、他の土地に行ってライブをするっていうのは、バンドなら当たり前のように見えて実はすごく重いことなんだと、このライブで実感した。だってこの日の私みたいな辛気臭い気持ちの人がたくさんいるんだから。でも、だから、全国ツアーには相応の価値があるんだなぁって。てか、全国ツアーってすごくない?CRYAMY、全国ツアーしてるんだけど。もうやってることBUMP OF CHICKENと同じじゃん!

帰宅後は、次の日も朝から普通に仕事があったのでお風呂に入って買ってきたマックを食べて少しだけSNSを見てすぐに寝た。それでも翌朝はまだ疲労と耳鳴りが残っていて、齢23にして体力の限界を見る。このブログだって、書き始めた頃はろくすっぽ学校にも行かずバイトばかりしてとくにやりたいこともないゴミ大学生という肩書きしか持っていなかったのに、CRYAMYに出会って、たくさんバンドを知って、そういうのとはまた別のところでやりたいことを見つけて、今ではそれを仕事にしているのだから、CRYAMYを聴き始めた頃の私がこの状況を見たらさぞ驚くだろうと思う。でも、CRYAMYが本当にtenで始まってテリトリアルで終わる最高のフルアルバムを作ったことにはきっとあまり驚かない。だってCRYAMYはもっともっと大きくなると確信していたのだから。あ、やっぱり少し遠くてもリリースツアー後半行けるところは行こうかな。CRYAMYに、いろんな景色を見せてほしいから。

 

深夜2時から朝6時までぶっ通しで書いて、途中酒の力も借りてるので変なことを言ってるところもあるかもしれないけどとりあえずもう今日は終わりにします。

CRYAMY、横浜また来てね!まあ来なくても私が行くけど!