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好みの話じゃなくて、好きの話

6/13(sat)「CRYAMY presents 100分」配信ライブでCRYAMYを見た

 

CRYAMYがライブ配信。普通にビックリした。やらないと思ってた、というか、そもそも私に「ライブ配信」の発想がなかった。それなりに好きなバンドがライブ配信をやっているのはうっすら知っていたけど、なんとなく無関心で興味が持てず、一度もそれを体験していない。でもCRYAMYとなると話は違った。すぐにチケット代1000円と、ついでにお金もないくせに(マジでない)1500円をチャージして、合計2500円、よくライブハウスで出している金額(ちょい少なだけど)を支払い。いつもと同じようにライブハウスを使ってバンドが演奏するんだから、相応だよね…?あとは、CRYAMYが良いライブさえしてくれるなら、私は今のCRYAMYが見られて嬉しいと、本当にそれだけだと思った。

 

当日は18時半までバイト。ドアtoドアで1時間ちょいくらいのところに通っているから、20時からのライブは実は少し危うかった。それなのに、そんな時に限って時間ギリギリの仕事を頼んでくるし、おまけにその日は一日中まあまあな量の雨が降っていて、水溜りに足を濡らしながらバイト先から最寄り駅までの道を走った。のに、乗りたかった電車に間に合わず、靴もスカートも走る時に振り回した腕もびしょびしょ。無性にイライラした。こんなことならどんなに暑くてもズボンを履いてくればよかった。ツイてないな、もうCRYAMY諦めようかな、アーカイブ残るしあとでゆっくり見ようかな、なんて考えが苛立ちの中にポンポン浮かんでくる。それでも、乗り換えの電車に最後の希望を託して超高速で横浜駅構内を移動。緊急事態宣言解除後の土曜日夜の横浜駅は、その頃の閑散とした空気が何事もなかったようにもとの喧騒に戻っていた。人、人、人。私急いでるんですけど。ちんたら歩かないでくれませんか?なんて言えないので、ただひたすら人を避けながらなんとか目当ての急行電車に乗車。家に帰ったのは19時半を少し過ぎた頃だった。高速で着替えたあと、高速でうどんを胃に流し込み、このために楽しみにとっておいた99.99のクリアコーラ(ロング缶)(美味しくなかった)片手にしばし待機。一人だから人目が気になるとか、転換中の目のやり場に困るとか、目の前の人でステージがよく見えないとか、そういう些細なモヤモヤが生まれないのが配信ライブの利点だなと素直に思った。そういうのも含めてライブだという意見もあるけど、あるかないかで言ったら、ないほうがあずましく見れる、と思う…。まあ、もちろん(?)それがあっても生で見るライブが一番良いということには変わりないんだけど。

ライブは5分押しで開始。カワノさんが「目の前でやる、やります」と宣言して、一曲目のテリトリアルが始まった。すごい。私、いま、イヤホンでライブを聴いてる。これが終わったあとに耳鳴りが起きてほしくて、音量を2つくらい上げた。うるさい、けど、カッコいい。配信ライブを見るのは初めてで、私はてっきりステージでの演奏を映すものなのかと思っていたけど、なんかたぶん4人円状?になっていて、個々が順番に映されていくシステムだった。カワノさんの向かって右側にタカハシさんがいるのがめちゃくちゃ新鮮で、ヘンな感じさえした。あ、でも、先に言っておくと、このライブはよく見えるワンマンライブのような感じで、とても楽しかったです。

テリトリアルの演奏後、サーバーエラーで一時中断。復旧が難しかったみたいで、急遽YouTubeでの生配信に変更となった。改めてsonicpopから始まったライブ。sonicpop、crybaby、サーバーエラーになったことをカワノさんが口悪く話したのち、ディスタンス。迅速にYouTubeで対応してくれたし、お金も返ってくるし、私個人的にはzaikoから見れていたからこちらとしては何も文句ないけど、やってる側からしたらやっぱり苛立つものなのかな。CRYAMYは私たちの目の前にいるのに私たちはCRYAMYの目の前にいないという矛盾が配信ライブの欠点かもしれない。画面越しに温度差を感じてしまって、少しだけ悲しくなった。

とはいえ、演奏が始まってしまえば、その温度も少しずつ近づくわけで、ディスタンス、ビネガー、普通と、クリアコーラの力もあってか徐々にテンションが上がっていく。とくに普通が良かった。何が良いって、オオモリさんのドラムが良い。何よりよく見える。今までで一番ちゃんと見た。見えた。私、バンドやるならドラムがやりたいな。2のドラムのゆっこちゃんに憧れてるというのもあるけど、この普通のときのオオモリさんを見てるときにふと思った。ライブが終わってからお母さんにその話をしたら、「あんたリズム感ないから無理だね」と言われた。その通りすぎてぐうの音も出ない。

それから、カワノさんの「タカハシくんお願いします」という合図でイージリーが始まって、twisted、ディレイ。この3曲の流れがすごく興奮した。とくに、twistedは久しぶりにライブで聴いたし(そもそもライブ自体久しぶりだけど)、イージリーからの繋がりがとても良かった。いやでもやっぱり、何よりディレイが良かったかも。「君が特別だったんだ」という至極シンプルなパワーワードが、なんとなく、物臭みたいだと思った。ディレイはCRYAMYを知った頃からもうずっと大好きで、シングルに入ると知ったときは純粋に嬉しかった。CDが届いて実際に聴いてみたらすごく懐かしい感じがしたし、このライブでディレイを演奏した時もそう思った。なんか異様に懐かしかった。その一瞬だけ、2018年の冬だった。CRYAMYに出会えたことがとにかく嬉しかった時期。寝てもCRYAMY、覚めてもCRYAMY、寝る間も惜しんでCRYAMY、みたいな。毎日、一日中CRYAMYを聴いていた。それ以外何もなかったから。今はあの頃と比べるとだいぶマシな生活になったと思う。夜に寝て朝に起きてるし、昔のことを思い出さなくなったし、ちゃんと就活してるし(だいぶスローペースだけど)、何よりやりたいことができた。そのおかげか、やれなかったことを悔やむ時間が減った。CRYAMYのことを好きになった頃の、何も無かった、何も持ってなかった時期が、嘘みたいだ。もちろん、それで自分が情けなくなることもある。傷つくこともあるし、悲しい気持ちでいっぱいになることもある。でもそれはCRYAMYも同じだと、この日のディスタンスとGUIDEに再録されたディスタンスを聴いて思った。知名度が上がって、雑誌とかも載ったりして、延期にはなっちゃったけど大きいところでワンマンライブができるようになって、なのに、音も声も以前と同じ、いやなんならそれ以上にヒリヒリしていて苦しそう。生きるってこういうことだなぁって。22年間生きてきて、前を向くと傷が増えることに初めて気づいた。そして今CRYAMYはその途中にあるのかもしれない。だから、昔の傷を舐めるようなディレイが懐かしかったんだと思う。当時の私はCRYAMYのそんなところが好きだったから。2018年11月のCRYAMYとわたし。今は、真っ直ぐに前を見据えているようなところが一番好き。でも、ディレイをこうやって懐かしく思えるこの感覚がなければ、きっと私はCRYAMYに出会うことはなかったんだと思った。とにかく、私は、この100分(実際にはもっとあったけど)の中ではディレイが中心だった。セットリストもちょうど真ん中くらいだったし。

「鼻で笑うぜ」なんかライブで初めて(だよね?)やるのに、なんだかすごくナチュラルに演奏が始まる。バンドバージョンを聴くのは初めてだけど何故かイントロですぐにこの曲だとわかった。こういう音?メロディ?はCRYAMYでは珍しい気がしたけど、カワノさんが歌い始めたらいつのまにかCRYAMYになっていた。"大袈裟なこと言わなくたって私はわかってるわ"とか、"君が生きていて良かったって思うよ"とか、歌詞の言葉選びというか、センスっていう表現じゃ片付けたくないけど、CRYAMYは本当にそれが秀逸だなぁと思う。"君が生きていて良かった"だけで十分伝わるけど、その後ろに"って思うよ"って加えるだけですごく個人的な気持ちになるというか、《事実》じゃなくてあくまで《気持ち》として伝わるというか、なんかまあ上手く言えないけどそんな感じ。CRYAMYの曲の、こういう狭い世界でできているところが好き。それが本当に上手に現れているところが好き。だから配信ライブって、そういう意味ではちょっとCRYAMYっぽくないのかもしれない。まあ、それとこれとは別なのかもしれないけど。

 

とにかく早くCRYAMYのライブが見たくなった。私もCRYAMYの目の前に行きたい。tenの鼓膜が裂けるほど強烈な音が聴きたい。別にそういうのが好きなわけではないけどCRYAMYに関してはそれがないと物足りなくなってしまった。私は忍耐だけは人一倍あって、この状況も文句ひとつ言わずに耐えてきたつもりだけど、いざ見てしまうと欲が出る。またできるようになるなんて保証どこにもないのに。CDで曲が聴ければ十分だって思ってたのに、この配信ライブ以来、CRYAMYのライブが見たい見たいお化けになってしまった。早く成仏できますように。

 

最後に少しだけどこにも埋め込めなかった話をして終わります。SNSとか見てるとみんなディスタンスを「曲の輪郭が〜」ってよく言ってるけど、私は、「曲の輪郭が」で言えば、#2よりだいぶぼんやりしていると思う。というか、みんな結構知った顔して感覚の話をするんだね。私もだから安心した。6月のCRYAMYはたぶん2周年だったのにとくに何もなく過ぎていったから、この場で、おめでとう?が正しいのかな。2歳になったCRYAMY!え、まだ2年?もう8年くらいやってる感覚がある。

今年は学生最後の一年だしライブにバンバン行くつもりだったのに、計画通り行かないものだな。なんなら大学4年間、何一つ上手くいかなかった。私なんて本当は保健室の先生になりたくて今の大学入ったんだよ、男の子と接することが嫌で女子大に入ったし、音楽に関するバイトがしたくてTSUTAYAでアルバイトを始めた。でも蓋を開けてみれば教職もダルいし血見れないしで養護教諭なんてすぐに諦めて、彼氏欲しいけど出会いもない状態になっちゃって、TSUTAYAを辞めてよくわかんない居酒屋で働いて、本当に何一つ計画通りに行かない。でもその中でやりたいことに出会えたし、私は上を向いて歩ける。そういうタカハシさんからのメッセージがGUIDEに入っていた、それを見た時、なんだか泣きそうなほど嬉しかった。じっと俯いて耐えるだけじゃなくて、ちゃんと上向いて歩く。それが今、できてる。がんばるがんばる。私は、CRYAMYの暗いところやじめっとしたところも好きだけど、一番は、どこか冷静に前を向いているところに惹かれているから。GUIDEの4曲目の「戦争」とか、まさにそれ。CRYAMYと同じように、私はちゃんと上を向いて歩こうと思います。CRYAMYちゃんもお体に気をつけてください。

 

 

追記

「再録」っていう響きだけで身構えてしまっていたけど、私は、GUIDEのディスタンスのほうが好きでした。安心した。