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好みの話じゃなくて、好きの話

11/14(sun) 渋谷CLUB QUATTRO CRYAMYを見た

何から書こうかな…と思い悩んで、翌日の朝になりました。正確にはもう昼前です。たぶん書き終えるのはもう少し後になります。頭に残っているものを、ひとつひとつ、順番に書き出していこうと思いますが、まずは何より、あんなに楽しそうに、そして嬉しそうに笑うカワノさんは初めて見ました。それだけで「今日は来て良かったな」と心から思いました。

 

さて、2021年11月14日、建国物語ツアーファイナル渋谷クアトロ編。近頃、家と職場を往復するだけの日々を過ごしていたからか、久しぶりのCRYAMYのライブになんだかすごくワクワクしていた。午前中から髪の毛まで切りに行ったりしてね。

実を言うと、最近はあまりCRYAMYを聴いていなくて、というか、バンドや音楽自体から少し遠ざかっていて、仕事の日は仕事だし、休みの日は家でダラダラとYouTubeを見たり漫画を読んだりするだけの生活。強いて言えば、ここ2、3ヶ月で何故か急にBTSを好きになって(私はテテ推し)、通勤中に聴く音楽もだいたいBTSかきのこ帝国だったし、友達とそういう会話でキャッキャと盛り上がれるのが素直に嬉しいとかも思ったり。そういえば、高校に入学した頃もこんな感じだった。ただただ慌ただしく忙しくて、好きだったバンドが聴けなくなって、流行りの音楽で周りと歩調を必死に合わせる。まあ今はあの時ほどしんどい生活ではないけど、4年間も怠惰な大学生をやってしまった体に社会人一年目はやっぱりちょっと堪える。だからこそ好きな音楽を聴いたりするものでもあるんだろうけど、それができないのは、私が気持ちでCRYAMYを聴いていた証拠だろうなと思う。CRYAMYは、私が人生で一番頑張れなかった時期に出会ったものだったから。あの閉塞感はもう味わいたくないもんだ。もちろんそういうの関係なくバンドとして歌としてCRYAMYの曲を心底カッコいいと思うのは変わらないんだけど…、まあ、とにかく、CRYAMYを聴く「気持ち」になれなかったという話。まあそれでも、いや、だからかな?久しぶりのCRYAMYのライブ(正確には3ヶ月ぶりの)、なんかもう本当にめちゃくちゃ感動した。前置きが長くなりました、詳細を以下へ。

 

18時少し前、東急東横線渋谷駅着。ハチ公前の改札から出ると、溢れんばかりの人、人、人。少し前までは有り得なかった光景に少し狼狽えつつ、渋谷クアトロを目指して歩く。おしゃれな学生、サラリーマン風の男性、キャッチ、ナンパ、下品に笑う女やら老人…を掻い潜り、なんとかGUまで。なんか、前に来た時はGU内のエスカレーターから行った記憶があったんだけど、今回はそこから行けず入り口がわからなくて、体感で10分くらい探し回ってしまった。めっちゃわかりやすく「入り口ここ!」みたいに書かれていたのにね。少しロスを喰らって18時ちょっと過ぎ、アナログフィッシュの演奏中に満を辞して中へ。とりあえずすぐにドリンクを交換して、適当な位置でしばしアナログフィッシュを鑑賞。アナログフィッシュ、あんまりちゃんと聴いたことなかったけどとても良かった気がする…。とくに、カワノさんが小さい頃にテレビで聴いたらしい曲。あれ、好き。大御所じゃん…貫禄すご…とか思いながら、転換でステージに上がるCRYAMYを見る。こういう光景も久しぶり。とは言いつつ、あまり一人で前ばかりジロジロと見ていても気持ち悪いので、基本的にはTwitterInstagramであまり興味のない投稿を見ていた。そうこうしているうちにBGMが鳴り止んで、始まる。あ、なんか書いててドキドキしてきた。すごいな、蘇ってる。今までのCRYAMYの中で間違いなく一番カッコよかったライブが、始まります。

一曲目はten。まず私の中ではここから少し意外だった。建国物語は5月の横浜しか行っていないから他の日は知らないけど、少なくとも横浜ではtenは最後の曲だったし、アルバムのツアーという意味でも(アルバム自体では一曲目だけど)この曲は勝手に最後だと思っていたから、ちょっと意外。でも、一曲目のtenは本当にテンションが上がるから堪らないね。からのcrybabyでもっとテンションが上がる。そうそう、CRYAMYのライブってこういう感じ。楽しくて、嬉しくて、これ以上の瞬間ってあんまりない。アナログフィッシュのときからなんとなくずっとトイレに行きたくなっていたんだけど、それすら忘れてしまうほどのめり込める、引き込まれるライブ。最近聴いてないとか逆にめっちゃ聴いてるとか、そういうのってたぶんあんまり関係ないんだなって思った。ただこの瞬間は、CRYAMYを聴く「気持ち」になってる。今考えると、意外だった一曲目のtenがそうさせてくれたんだと思う。まあ、なんていうかその…、今回のCRYAMY、今までで一番カッコよかったし、あとでカワノさんも言ってたけど、第一期の終わり、つまり第二期の始まりなので。今までにないCRYAMYの、序章?導入?みたいな、そういう新しい雰囲気が、もうtenからあったのかもしれない。ごめん、何言ってるのか自分でもよくわかりません。

でさ、テリトリアルの前のMCのことなんだけど。前からちょこちょこ言っていたような気がするけど、今回のアルバムはカワノさんが体験してきた"負"の曲たちでできたアルバムで、カワノさん曰く、「こんなことを歌いたかったわけじゃない」のだと。なんとなく少し驚いた。カワノさんは、いつもライブではカッコいい姿を見せたり、私たちを守ると言ったり、強く振舞ったり、逆に自分のダメなところを冗談混じりに話したりすることはあっても、こんなふうに素直に弱音とも取れる発言をすることはあまりなかったと思うから。あまり、というか、少なくとも私が行ったライブでは一度もなかったと思う。そういうことをぽつりぽつりと言葉にするカワノさんをなんだか見ていられなくなってしまって、途中から少し視線を落とした。目に映る誰の体も動かない。みんな、カワノさんの一言一句、一挙手一投足全てが気になるんだと思う。そういう話をしたあとのテリトリアルは、それはもう大層悲しかった。でも今までで一番カッコよかった。で、思った。あらゆる局面で負けてきたカワノさんが作るCRYAMYの曲は、負けてない。ピクリとも動かなくなった体で手のひらだけを握りしめて、そうやってテリトリアルを聴きながら、こんな瞬間に立ち会えて幸せだなんて漠然と考えていた。たぶんこれは、このカワノさんの本音は、これが最初で最後だと思う。あ、でもどうだろう。カワノさんは伝えたいことなら何度でも言うから、もしかしたら今後もこういう話をするかも。いや、というか、私が知らないだけで今まで言ったりしてるのかも。まあどちらにしても、この瞬間を見れて良かったことには変わりないね。私ったら、ああ幸せ者。

それで、そして、アンコールなんかもう、本当に凄まじかったんだから。大好きだの、愛してるだの、カワノさんがそんな甘いセリフばかり言ってる。あとで見てみたらアンコール一曲目のWASTARはカワノさんのサウンドクラウドに上がっていたんだけど、最近CRYAMYを聴いていなかったので私はこれがWASTARとの初対面でした。カワノさん、アイラブユーって言った!言ってた!「アイラブユーなんて言えないくらいがちょうどいい」って昔ライブで言っていたの、私忘れてないからね。だから本当に嬉しくて嬉しくて、喉の奥が詰まって、ジワジワと体が熱くなって、ここ最近で一番笑顔になった。でもカワノさんのキラキラした笑顔を見ると泣きそうにもなって、でもやっぱり笑って、アンコールはその繰り返し。ラストの世界のあと、ノイズの中でカワノさんが「音楽をやってる以上、誰かのためにとか、救うとか、そういうのが、絶対正しい」と、声高々に宣言していた。だから私も「気持ち」でCRYAMYを聴いてしまうんだ。それできっと、カワノさんも、自分の好きな音楽を、そうやって聴いてきたんだろうな。

最後の最後にそんなことを言うから、ライブが終わったあとまで泣くのを必死に我慢することになってしまった。ちょっと、カッコよすぎるんじゃないの?この半年くらいのあいだに何があったの?たしかにとても「勝ってる」とは言い難いことばかり歌ってるred albumのツアーが、こんなふうに終わるとは思っていなかったな。もういつからだかわからないほどずっと言っていた、tenで始まってテリトリアルで終わる最高のフルアルバム、こんな形になったんだ。カワノさん、「悲しい時だけじゃなくてこれからは嬉しい時も側にいたい」というようなことを言ってくれたけど、あの瞬間がもうまさにそれだったし、こんなに嬉しくさせてくれたのは他の誰でもないCRYAMYです。もうこれ、win-winてやつ。

 

私が、学校にも行かず、バイトばかりして、酒を飲んで、過去の憂鬱に囚われて、そして同時にそういうフリをしながら周りを見下していた3年前、あの頃に出会った負けっぱなしのCRYAMYと、CRYAMY#2。負の感情とか負けた事実とか、言えなかったこととか言いたかったこととか、それとばかり向き合ってそれにばかり気持ちを揺さぶられていた、と思う。私も、CRYAMYも。でも、今は、それを全部背負って全部抱えたまま、全く違う方向を向いて、全く別のものと向き合ってる。そんな姿を見せてくれたこの日のCRYAMY、あーうんやっぱり今までで一番カッコよかった。

 

見えない奥の隙間に触ってくれたあの日の、今日までのCRYAMY、今までありがとう。これからもよろしくね。

 

あと、そうだ、CRYAMY、恵比寿LIQUIDROOMワンマンも、おめでとう!