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好みの話じゃなくて、好きの話

「物臭」へ

 

月曜日の大学は午後からの二コマ。それも特段苦手な英語の授業が連続でふたつ続いていて、今日はどうしても行く気になれなかった。仕度を済ませ家を出て、電車には乗るものの、結局最寄りの一つ隣の駅で降りて紀伊国屋に向かった。

日差しが暑い。夏が来るのだろうか。そろそろ日焼け止めを買わなければならない。母の日にプレゼントしたシトラスの香りがする日焼け止めスプレー、ちょっとくれないかな。今月はお金がない。今週は二件お誘いがあるけど給料日までは程遠い。お金がないくせに読みたい本はある。期限が切れたZOZOTOWNの支払いを後回しにしてまで飲んだお酒や買ったCDに意味があったのかはわからないけど、誰も肯定してくれないなら自力で意味を見出だすしかないのだ。紀伊国屋で購入した値段分の重さがあるこの大判の新書に、私はそれ以上の重みを感じられるだろうか。そのあと立ち寄ったサンマルクカフェに私は一人で三時間も滞在したのに、一度も本は開かなかった。

 

本を読まない私は言葉を知らなくて、この曲に出会うまで「物臭」の文字には馴染みがなかった。曲名のとおり、出てくるフレーズや浮かぶ情景は後ろ向きで湿った日常。今にもほどけそうな緩い靴紐に気づいたときのような、上着のポケットに入れっぱなしになった十数円の小銭を握ったときのような、小さい憂鬱がいくつもいくつも積み重なって、動けなくなる。本当は全部ここにあるのに、遠く先にある何かを掴まないといけない感覚に陥る。物臭の歌詞はそれがすべて現れている。"本当"というのは汚いけど綺麗なものだし、綺麗に思えるけど実は醜いものだったりもする。結局それを綺麗に映すかどうかは見る側次第で、そんな物臭の歌詞を綺麗だと美化するのも聴き手側、私次第なのだ。私はトイレットペーパーを友達に買ってきてもらうことはないし、買ってもらったテレビを売ったこともない。薬局で缶チューハイは買わないし、その空き缶を灰皿として使いもしない、そもそも喫煙もしない。だけどどうだろう、遊び呆けて朝方に帰宅しても親が鍵を開けておいてくれること、お世話になった先輩に大層な文句を言い付けたこと、友達を裏切ったこと、後輩を妬んだこと、志望校をひとつ落としたこと、学校をサボったこと、バキバキに割れたスマホの画面を修理に出さないこと、ZOZOTOWNの付け払いを払わないこと、買った本を読まないこと。出てくる後悔、憂鬱、怠惰、小さくても積み重なってそれが大きなプレッシャーになる。そうしているうちに些細な苛立ちに蝕まれていって、結局、取り返しのつかないところまできてしまう。物臭の歌詞は、そうやって私が背を向けたところで知らないうちにリンクして、後ろ髪を引っ張られ、引き戻される。こんな日常は綺麗とは言えない。物臭の歌詞は美化できない。聴けば聴くほど、部室が並んだカビ臭い廊下を思い出す。土の匂いが混ざった6月の湿った空気を思い出す。あの時野球部なんて選んでいなければ、私の後悔も少しは取り除けたかな、という、後悔。毎日のように嫌悪や憎悪を抱いた生活は、「最低」以外の何でもない。

でも、物臭には、音楽にはメロディーがある。それが一種のカタルシスというか、とりわけ、物臭はそれが暗い歌詞を良い方向へ導いてくれる。後悔は消えないから後悔だし、簡単に美化できるようなものでもあってほしくない。そんな軽いものを悔やんだつもりはない。それでも、憂鬱は憂鬱のままで、後悔は後悔のままで、それを鳴らすのはポップで優しいメロディー。だから、私は、物臭が綺麗だと思ってしまう。生活は思うように上手くいかない。寒いから見送りに出たくはない。誰かのために動けるような出来た人間じゃない。本当のことは綺麗とは言いがたいけど、本当を歌う歌はすごく綺麗だった。

結局のところ、物臭は良い曲なのだ。愛される歌だと思う。こんなポップソングが、ただ一人に伝わればと願う。歌なんていうのはずっと昔から「君」のことしか言われないし、それも大概が、会えない相手への恋文だし。

 

サンマルクカフェを出た頃にはもう日が落ちていた。物臭のミュージックビデオを見てすぐに帰ろうと思ったが、涼しい気温とまとわりつく湿った風がちょうど良いところで混ざりあっていたので、もう少しだけ歩くことにした。家の近くを通ったところで、街頭の灯りが変わっていることに気づく。オレンジ色の明かりから白っぽい色に変わっていた。誰が、いつ、替えたのだろう。

 

去年の秋、CRYAMYと出会ったとき、その時はまた別の意味で最低の生活をしていた。学校も行かず、バイトばかりで、彼女のいる男の子と遊んで、何も無かった。何も無かったのだ。#2に収録されたディスタンスを初めて聴いたのは10月の終わり頃で、私はその冬をディスタンスと一緒に越したと思っている。長い寒い厳しい冬は、越したのだ。何も咲かない時期はもう終えた。シーズンが開幕する春は嫌いだったけど、CRYAMYのおかげで好きになれた。この春にあったリリースパーティーは、私が冬を越す理由だった。そこで聴いた物臭は、特段綺麗だった。

この、あたたかい、湿った空気を帯びて歩く夏の夜は、物臭と一緒に越せる気がする。明日はちゃんと学校に行こう。音楽療法の授業がある。英語は嫌いだけど、この授業は楽しみにしていたのだ。この夏休みには集中講義も受ける。遠くにある何かを掴みたいから、目の前にあるものから拾っていかなければならない。

 

 

 

5/20

公開し忘れていた

 

ハイボール一缶で酔っぱらい、情けないし恥ずかしい。昨日バイト先の先輩が奢ってくれたウイスキーは私でも違いがわかるくらい飲みやすくて、おいしかった。それに比べて駅近くのスーパーで買った192円の角ハイボールは本当にただのハイボール

なんて、どうでもいいんだこんなことは。私は酒や煙草やセックスで退廃を匂わせたいわけじゃないし、拗れた恋愛模様を描く大衆文学もそれを実写化した映画も本当に興味ない。なんかもう本当にマジでその辺の女と一緒にしないでくれ!私は大人になりたいんだ。大人になって立派になって賢くなって優しくなって、憧れている人と並びたい。人の役に立ちたい。必要とされたい。聖母のような心を持ちたい。結局いまだにそんなことを思ってしまいますね~。というか全然関係ないけどこの場を借りて最近マジで思ってること言ってもいいですか?公共の場で靴を脱ぐ人なんなの?本当にやめてほしい。おまえの素足も靴下の裏も見たくない。見なきゃいいとかじゃない、見えるんだよ。飲食店で靴脱ぐの本当にやめてください…。普通にマナー違反、行儀悪すぎる。でもこんなこと思うんじゃ聖母には程遠いんだよな…。まあ、ともかく、それでもこの土日は濃厚だったので日記的なハイライト的な。

 

5/18(土)

Hue'sのライブに行った。すごく、すごーーーく良かった。私はあまり演奏面の技術とか構成のことはわからないけどHue'sはそれが良いんだろうということはわかるし、正直、Hue'sを好きな自分センスある…と思ってたりする。この日は一曲目からYouthで、ということはつまり世界の終わりからで、めちゃくちゃにカッコ良かった。SEが落ち着いた感じの音楽だからそこからの高低差が本当にもう。マジでカッコいい。見れば見るほど、見るたびに"良い"が増していく。Hue'sの前のバンドがosageで、osageのレコ発にCRYAMYを見に行ったときはライブを見ずに帰っちゃったから今回はちゃんと見たんだけど(カワノさんはosage好きらしいし)、良かった。とくに新曲と言っていた曲が好きだった。でも、osageが終わったあとにフロアからだいぶお客さんが引いちゃったのがなんでか少し悔しかった。これからめっちゃ良いバンドが始まるのに!という気持ち。でもその代わりカワノさんとフジタレイさんとオオモリさんが前に出てきた。Hue'sを好きになったきっかけは間違いなくCRYAMYなので本当にありがとうございますという所存。

そのあとは夏を待っている、vacation、Luka、ベランダ、かな、たしか。夏を待っている、マジで良い曲。新譜の中で一番好き。あとはやっぱりベランダだなぁ。何度聴いても間奏が良すぎる。何度と言っても2回しか聴いたことないですが…。6月にHue'sとCRYAMYの対バン楽しみだなぁ。でも、Hue'sのライブ中のCRYAMYメンバーを見ていると、本人たちが一番楽しみにしているんだろうなぁと思う。少し前に某バンド(別に隠す必要もないか。ハルカミライ)がライブのMCかなんかで「バンドは友情だ」と言っていたらしくて、私はそれを友達から聞いたときは「何が」と思ったけど、案外、本当にそうなのかもしれない。

家に帰る前に友達に誘われたので合流して、暗い川沿いを歩きながら二人でしっぽり。なんだか珍しく真面目に話してしまって、私はベラベラと近い将来のことを語りながらこんなことを思っていたんだと自分でも少し驚いた。友達はもう社会人として働きはじめているけど、やりたいことや目標があるみたいでいろいろとちゃんと考えていて、なんかすごいなぁと思った。その点、私は、やりたいことがあって今の大学今の学科に来たのはずなのに、いつのまにかその気持ちがなくなっている。というか、別にもともとそんなにやりたかったわけでもなかったんだろうな。諦めて、ヘラヘラして、バイトして、音楽聴いて、生産性のない日々を過ごしてしまっているけど、最近なんとなくやりたいことが漠然とだけど見えてきたみたいだ。それは今の学科じゃないとできないことだから、根本としては結局あまり変わっていないのかも。とりあえず今度の就職説明会、ただ行くだけにならない気がしてきた。よかった。

 

5/19(日)

この日は、下北沢のタワーレコードでカワノさんの弾き語り。カワノさんの弾き語りは予定が合わずに毎回行けないことが多かったので、わりと久しぶりだった。クリスマスの渋谷タワレコ以来かな。最初はシングルのcrybabyの曲順で、ピンクからtenまでを少しだけ説明しながら4曲全部歌った。crybaby、怪我が原因で野球をやめてしまった後輩(に向けた?)の曲らしい。野球が好きだったのかな。いつ、どんな怪我をしたんだろう。野球をやってる人は野球しかできない、みたいなところがあるから、やめちゃったのは結構大きい出来事かもしれない。高校時代に野球部のマネージャーをやっていた身としてはそう思う。私ですら、高校3年生の夏に負けたときは悔しさと虚無感で一ヶ月くらい何もできなかった。本当に何もしていない。受験勉強もしてないし遊び呆けたわけでもない、ただ一日中テレビの前に張り付いてオリンピックを見ていた。甲子園なんて一切見ていない。甲子園は今でも見ないし、うちは私以外家族みんなベイスターズファンだけど私は無理、正直もう金輪際野球とは関わりたくない。だからカワノさんの口から「野球をやめた」という言葉が出てきたときはドキッとした。「誰の話?私?いやいや、後輩」という感じで一瞬本気で焦った。どこまでいってもCRYAMYの曲はそうやって、なんというか、私高校時代のこと忘れたいのに、CRYAMYは逆に思い出すような曲ばかり。だからもう忘れるのはやめたし、こうやって書いている。後輩、いま何をしてるのか知らないけど、野球やめたって人生どうにだってなるから腐らないでほしい、と言いつつ、私も野球しかないって人をたくさん見てきたから何も言えない。何も言えないんだよなぁ。こういうときに、何か、言える人間になりたかった。選手が怪我したときも、監督に怒られたときも、メンバー外れたときも、試合に負けたときも、私は何も言ってあげられなかったし、同じように泣くばかり。下手なこと言って怒らせたことすらある。気がつかえる、人の心がわかる、優しい人になりたいと思ったのはその時だ。カワノさんもこの日言ってたけど、私も優しい人になりたいよ。というか、自分を犠牲にしてまで誰かのためにならないと自分の存在価値がわからない。自分のために誰かに優しくする、ワケわからんけど本音はそこにある。最後にやったプラネタリウムはとても良かった。バンドで聴きたい。ガーデンでやってくれちゃったりするのかな?それとも、ワンマンまでとっておくのかな。

 

とにかくこの二日間、将来のことと過去のことを考えたり思い出したりした。なかなか濃かった。来週のサウクルCRYAMY下北沢ガーデン、めちゃくちゃ楽しみにしてる。

 

5/25(sat) 下北沢GARDEN CRYAMYを見た

 

5/25 下北沢サウンドクルージング

朝目が覚めると体調がすこぶる悪かった。頭痛にやんわりとした吐き気、頭がボーっとする、そんな体を無理やり起こして下北沢に向かった。

前々日くらいから体調が良いとは言えなかったのに、私はバイトをしたり朝まで飲んだりタピオカを食べたりしてしまって、全く体に気を遣わなかった結果がこの有り様。でもこの日はずっと楽しみにしていたサウクルなのだ。這いつくばってでもガーデンに行かないといけない理由がある。そこでデイタイムのトリを努めるCRYAMYを何がなんでも見たかった。思えば前日、ライブに行く話を友達にしたら何のバンドを見に行くんだと聞かれて、CRYAMYだと素直に言ったら「知らねー!」と一蹴りされてしまった。いいさいいさ、笑えばいい。私だってお前の好きな競馬のことなんて一切知らない。お互い我を忘れるくらい好きなものがあるなんていいじゃんね、自分たちにとって特別であればそれでいいんだ。それにCRYAMYはいつか絶対誰でも知ってるバンドになるから、そんなことを言われたって私は山賊に酒を浴びせられても平気でいるシャンクスくらい広い心で笑っていられる。

下北沢に着いたのは、12時半の少し前。リストバンドを交換して(リストバンドを腕に巻いてくれたお兄さんがイケメンだった。腕の毛ちゃんと剃っててよかったー)最初に向かったのは下北沢レグ。トップバッターとなる2を見に行った。この頃にはもう体調は気にならないほどになっていて安心。結局この日は2とROKIと時速とペリカン、そしてCRYAMYを見たんだけど、最悪2とCRYAMYさえ見れればいいと思っていたところもあった。本当はPKshampooも見たかったんだけど、出番がCRYAMYの直前のデイジーバーだし、カワノさんが今はなきツイッターで「リハとかない。音出しから全力でやる」みたいなことを言っていて、それを全部見たかったので、PKshampooは7月のツアーまでとっておくことにした。あとあとSNSで反応を見てみると入場規制のうえにすごく良いライブだったみたいで…。でも後悔はない、ひとつ前のバンドからずっとガーデンにいたからCRYAMYはあんなに広い会場の前の方で見れたんだ。嬉しい~。

 

本当は2のルシファーが死ぬほどカッコよかったこととかそこにPKのにしけんさんがいたこととか、時速の仲川さんがバンプのTシャツを着ていたこととか初めて見たペリカンがすごく良かったこととかいろいろ書きたいんだけど、長くなってしまう(すでに長い)のでCRYAMYだけ。というか、トリのCRYAMYに全部持っていかれたので正直それまでの経過を忘れてしまった。CRYAMYさえ記憶が曖昧なので…。

 

CRYAMYの前にガーデンでやっていたバンドはHaloat四畳半で、たぶんサウクルに来るような人なら誰でも知っているバンドだと思う。このあいだ、バイト先にHaloat四畳半のiPhoneケースを付けているお客さんが来たくらいだ(ちなみにその日はマンウィズのライブがあったのかわからないが、そのTシャツやらなにやらを纏ったお客さんも来ていた)。Haloat四畳半のときもお客さんはたくさんいたものの"ぎっしり"という雰囲気ではなくて、そもそも入った瞬間から広々とした空間に驚いたし、「これは大丈夫なのか…?」と柄にもなく少しCRYAMYの出番が不安になってしまった。でもカワノさんいわくこれは賭博で、勝ったら気持ちがいいらしい。もう賭けるしかない。ベット!

Haloat四畳半が終わると、前から後ろに流れていく人たちを掻き分けて前方、ベース側へ。本当に広い。それに比例して、ステージも少し高い。音を調節しているあいだに、PKshampooを見に行っていたであろう人たちが続々と入ってきた。前の方にいたので後ろがどのくらい入っていてどのくらい空いているのかがわからなかった。気になって何度か後ろ振り返ったけど、真後ろにいた男の人に迷惑そうな顔をされたので途中からはそれもやめて、目の前のCRYAMYに集中することに決めた。

リハーサルは、普通とtwistedだった。普通のイントロの最初だけタカハシさんのベースの音が出ていなくて気づいたんだけど、なんというか、ベースって大切なのかもしれない。ベースがある音に聴き慣れているからなのかわからないが、ベースがないと音がカスカスだった。そんなことはバンドをやっていたり聴いている人からすれば当たり前の話なのかもしれないが、私にとってはかなりの発見。今まではバンドを聴かない友達に「ベースってなに?」「ベースいる?」と聞かれても上手く答えられなかったけど、これからはちゃんと答えられる。ベースがないとなんか変だったし。普通のあとtwistedをやってから、「よろしくお願いします」と残して一度捌けた。その直後、オレンジスパイニクラブ(らしい)の面々がやってきて、カワノさんの名前を叫んだり「愛してるよ~!」なんて言ったりしていた。普通に酔っているように見えた。でも、そういうことを私は言いたくても言えないしたぶんみんなそうだから、そうやって叫んでいるのを聞いて少し気分が良かったりもした。

それから照明が落ちるまではそんなに長くなかった。SEが鳴り始めて、いつもどおり、オオモリさんからタカハシさん、フジタレイさん、カワノさんと順番に登場する。四人を向かえる拍手、怒号、なんだか人気のバンドのライブが始まる瞬間みたいで、もしかしたら本当にCRYAMYは私たちのアイドルなのかもしれないなんて思った。

耳をつんざくようなノイズと同時にステージが明るくなると、一曲目のcrybabyが始まった。すると後ろからドッと人(たぶんオレスパ)が押し寄せてきて、軽くモッシュのようなものが起こる。私はもう楽しくて楽しくて。リリースパーティーでの一曲目もたぶん同じような感じだったんだろうけどその時は泣くことしかできなかったので、こんなに楽しくて仕方がない、バカみたいに笑っていられるライブはCRYAMYでは初めて。あと、タカハシさんの叫んでいる声をこの爆音の中で初めて聞くことができたので嬉しかった。二曲目はディスタンス。最初のオオモリさんのドラムと、そこからの"ジャーンジャーンジャーン"が持つ力がすごい。勢いと強さの他に何を込めればあの音だけでここまで響いてくるのだろう。その勢いが余って必ず少し上擦ってしまうカワノさんの歌い出しまでずっと耳に残っている。序盤二曲目のディスタンスいいなぁ。その勢いのまま三曲目tenへ。カワノさんはまたダイブしていた。PKshampooのヤマトパンクスや、CRYAMYをこのガーデンのトリに推してくれた龍ノ平さんまでステージから飛んできていて、嬉しい楽しい最高。この序盤三曲の疾走感が尋常ではなくて、体感的にはものの十数秒というくらい。tenが終わるとMCを挟み、中盤はpink、物臭、雨と続いた。pinkのときだったかな、たしかその辺りで、フジタレイさんがカワノさんとタカハシさんに突き飛ばされて客席に飛び込んでいた。結構すごい勢いで、そのときにギターの弦が切れてしまった(らしく)、時速の仲川さんが急遽替えのギターを持ってきてくれていた(らしい)。この日時速のライブも見たけど、そのとき仲川さんはMCで「友達のCRYAMYってバンドがガーデンに出るんですよ、すごいですよね、嬉しいなぁ」と言っていたので、なんだか胸が熱くなった。暴れればいいというわけではないんだろうけど、結局そういう気持ちが現れる高ぶったライブというかそういう演奏が私は好きだし、たぶんみんなそうだと思う。だってロックバンドだし。Haloat四畳半がアイドルみたいな笑顔で「ロックバンド代表として来ました!」なんて言っていたけど、アイドル枠でガーデンのトリにぶち込まれたCRYAMYのピコピコピーというギターの音と不器用な笑顔のほうが断然ロックバンドだった。

なんかあまり覚えていないけど、たぶん雨が終わってからもう一度MCを挟んで、月面旅行。月面旅行のバンドバージョンのイントロが大好きなので早急に音源化してほしいところである。とくにレイさんのギターのメロディーが優しくて好きだ(さっきからさらっと下の名前で呼んでしまっていて恥ずかしい)。そして新曲プラネタリウム。音楽を聴いているときは、その音楽と自分だけ。「わたしとあなただけ」という歌。"CRYAMYとわたし"である。この前の下北沢タワレコでの弾き語りでこの曲は月面旅行のアンサーソングだと言っていたけど、アンサーソングとはなんだろう。月面旅行にはどんなクエスチョンがあるのかすらまだよくわかっていないので難しいけど、いつかわかるといいな。

「CRYAMYとわたし」が何通りもできたところで、最後の曲テリトリアルへ。いつも言っているけどカワノさんが「好きな人に捧げた歌だったけど受け取ってもらえなかったからみんなにあげます」とまた言っていた。最初にサビの「簡単なこと言えやしないよ」の部分からをカワノさんがアカペラで歌って、それからイントロに繋がる。個人的にはリリースパーティーのときよりもこの日のテリトリアルのほうが良かったというか、なんというか、「癒えないで痛ぇ」という歌詞があるけど、みんなその部分を大熱唱していて、みんな癒えずに痛い思いをしているのかなぁと思うと、そういう曲をくれたことが嬉しくなった。なんて言うんだろう、とにかく、私も笑顔とも泣き顔とも真顔とも言えない顔で「癒えないで痛ぇ~~!」なんて叫んでしまった。だって痛いし…。初めてこんなことを叫んだ気がする。悲しいことや辛いことがあっても簡単には泣けないし、そんなことワンワンと嘆いていられないし、でも消えないし…。だからせめてそれを一瞬でも解放できる機会をくれてありがとう~という感じ。爆発!ステージ上もステージ下も、もう全部ぐちゃぐちゃだった。忘れていたけどこの日のCRYAMYはサウクルで下北沢GARDEN、デイタイムのトリなのだ。最後カワノさんが天井にギターを突き刺そうとしていたのは笑ってしまったけど、そんなことをしなくたって私たちの中には完全に残っている。私は前の方にいたから後ろにいた人がどんな反応だったのかはわからないし結局賭博に勝ったのか負けたのかも謎だけど、この日誰よりも楽しんだ自信があるので私の勝ち、私の勝ちということはCRYAMYの勝ち。楽しかった~!あと、CRYAMYは広い会場が似合うなと思った。

ライブが終わったあとアンコールの手拍子が起きて、私ももう一度出てきてほしかったんだけど、サーキットだからやっぱり厳しいみたいだった。でも、出てきてくれることが決まってるアンコールよりも出てくるかどうかわからないアンコールのほうがドキドキして、私はそれすらも楽しかった。もう本当に楽しかった。来月のワンマンまで、また頑張れそうだ。

 

 

5/12(sun) 下北沢近松 CRYAMYを見た

 

5月12日日曜日、母の日だった。お昼は母の日ギフトを買いに近くのショッピングモールへ。いろいろ吟味した結果夏に向けたプレゼントを購入、家に帰ってお母さんにそれを渡して、それからすぐに家を出て今度は下北沢へ向かった。

近松に着いたのは18時過ぎ。ソールドアウトだからわかってはいたけどやっぱり人がたくさん並んでいて、もっと早く来ればよかったなぁと思いながら私もその最後尾についた。18時20分頃に中に入れたけど前の方はもう埋まっていたので、真ん中より少し後ろで待機。一組目の弾き語りが始まったのは18時半を5分ほど過ぎた頃だった。

 

CRYAMYは三番手だった。ここ3、4日くらい、カワノさんはSNSで負のオーラをプンプンに匂わせていたので(お金がないなど)、準備をしているときから少しドキドキしていた。音の調節を終えて一度捌けていつものSE(この曲、どうやらジョイディヴィジョンらしい。このあいだカワノさんがインスタで言っていた。名前しか、それもカワノさんの話でしか聞いたことない。実を言うとバンド名なのか個人名なのかもわかりません…あとで聴いてみる)で登場。今回はフジタレイさんから順番に、オオモリさん、タカハシさん、最後にカワノさんが出てきて、一曲目はテリトリアル。初っぱなから見事にお客さんを置いてけぼりにするような熱量だった。というか、最初に言っておきたい、この日は本当に激しくて荒々しくて(とくにカワノさんが)、でも、「これが私の好きなバンドなんだ」と誰かに見せたくなるような、そんなライブだった。テリトリアルの最中にカワノさんが客席に飛び込んで、私はよく見えなかったんだけど頭をぶつけてしまったみたいで、途中に頭(?)から血が出ていた。私はそれを見て、なんか、不謹慎なんだけど、簡単に言えば「やったれー」という気持ちになってしまった。私自身そんなに"ライブで暴れたい!"というタイプではないけど、暴れてるCRYAMYを見るのは好き。それにこの時私はあまり良い気分じゃなかったから、CRYAMYにいろいろぶち壊してほしい気持ちがあった。もっと言えばそんな気持ちなんか置きざりにしてほしかった。そう思うと、この日の一曲目がテリトリアルで良かった。というか、テリトリアル、一曲目がよく似合う。ピタッと当てはまった感覚。テリトリアルのあとの普通もそのあとのピンクもいつもよりどこか尖っていて、でもそれが妙に心地よかったし、そう感じたのは私だけじゃないと思う。この日出ていた他のバンドと比べるとCRYAMYだけ少し毛色が違うように思えたし、そういうのも含めて、なんて言うんだろう、まあとにかく、カッコよかったのだ。

MCを挟んで物臭、twisted。twistedでのタカハシさんのコーラスがいつもに増して素敵だった。最近twistedが好きでよく聴いている。月面旅行の次くらいに聴いている。#2のtwistedも好きなんだけど、なぜかいつもサウンドクラウドのデモ音源で聴いてしまう。すごく良い曲。あの何も纏っていない、剥き出しの感じがすごく好き。これはCRYAMYの曲全般に言えることだけど、twistedはラブソングである分それが如実にあらわれる。「起死回生の文言を響かせたいと願っても もういいんだもういいんだって優しい人が僕に言う」なんて、ラブソングのサビの歌詞じゃない。でもこれはラブソングなのだ。カワノさんが「ラブソングやります」と言うからそうなんだ。すごく良い。

最後の曲はcrybabyだったんだけど、この1分そこそこでなんかたくさんのことが起こっていた。まず最初、ひとつ前のディスタンスが終わり、ノイズに紛れてカワノさんが「泣くんじゃないよ、っていう歌です」と言って、crybabyが始まった。泣きそうになった。それは、裏返したら「今だけは泣いてもいい」という意味にも聞こえた。というのも、前の前の弾き語りと前のバンド、どちらも青春(?)の曲をやっていたんだけど、私はそれを聴いていてなんか気分が落ちていたから。いわゆる青春時代、何度自分に「泣くな」と言い聞かせたことか。何度それに失敗したことか。CRYAMYを好きだから、crybabyを知っているからそう思うだけなのかもしれないけど、この時のカワノさんの言葉はなんだかすごく優しかった。楽しくない時間を否定せず、肯定もせず、ただ歌ってくれる。だからCRYAMYが好きなんだ。サビに差し掛かるとカワノさんはギターを投げてマイクを握り、また客席にダイブ。いろんなことが一瞬すぎて、本当に、一回瞬きをする度に状況が変わっていって、あまりよく覚えていないけど、カワノさんが飛び込んだ先にはずっとノリノリでライブを見ていたお兄さんがいて、その人がカワノさんをしっかりキャッチして、なんか楽しそうで、柄にもなく私はそれがいいなぁと思ったりした。ステージに戻ったら戻ったでフジタレイさんがまたカワノさんを煽って、カワノさんがフジタレイさんに飛び蹴りをして、そのまままた客席へ。さっきまでカワノさんがいたステージ中央でフジタレイさんは笑顔でギターを鳴らす。CRYAMYの企画かと思うほどに暴れ倒していた。暴れるというのは、単にわちゃわちゃやるということではなくて、よくCRYAMYのライブで見かける女の子とか、拳を上げる男の子とか、この状況を楽しむ人とか、私とか、みたいな、そんな人たちを掻き回すようなライブ。もうなんか全部壊してほしい。忘れたくて忘れたくてたまらない毎日が過去にあって、でも、忘れたいけど忘れられないからもう一生忘れてやるもんかって、私は最近そう思う。裏返してやるもんか、ちゃんと表向けて私は私がそれでもちゃんと頑張ってきた証拠を残してあげたい。裏切っちゃった人もいたし今まで散々日々を裏返してきたけど、私はもうそんなのやめるんだ~。crybaby、今回のライブで私はこんな解釈になった。CRYAMYは本当に、ギターを持っている二人がよく暴れる。この日はとくにすごかった。悪く言ってしまえばめちゃくちゃだった気もするけど、オオモリさんとタカハシさんのリズムが曲を支えてくれた。この日のcrybabyは間違いなく、今までで一番カッコよかった。

それにしてもカワノさん、綺麗なドロップキックだったなぁ。

 

CRYAMYが終わったら外に出て、ジンジャーエールを飲んだ。ゴールデンウィークに飲み過ぎたので今週は禁酒。この日も本当は飲みに誘われたけど断って、家に帰ってお母さんの手作りハンバーグを食べた。本当に美味しかった。そういえば、私がキツかった時期、お母さんも一緒に頑張ってくれていた。だからこそ私はちゃんとその時期に胸を張らないといけないんだ。お母さん本当にありがとう~。

 

次はサウクル。CRYAMYはもちろん、2も楽しみ。ライブがすべてではないけど、その日しか見れないものがあると思うと、やっぱりできるだけたくさん行きたい。今回のライブを見て、改めてそう思った。

 

 

追記

なんかライブに満足して浮かれてたらPKshampooのツアー当たったのに支払い期限がこの日だったことを完全に忘れていて、思いっきり払い忘れてしまいました…アホすぎ…。

 

 

月面旅行を聴いている。すごく良い曲。「あ~あ~ このまま~」の部分から、顔を伏せてしまいたくなるほど、なんか、クるものがある。そこから2回目のサビに繋がるのがめちゃくちゃ良い。6分もあるのにサビが2回しかない。めちゃくちゃ良い。先週、デイジーバーでこの曲を聴いたとき、なんか本当にCRYAMYが好きだなぁと思った。カワノさんのサウンドクラウドを聴き始めたのは去年の11月頃で、月面旅行はその頃からずっとあって、何回か形を変えてあげ直しされて、私はカワノさんがTwitterに載せたときの月面旅行がすごく好きだったんだけど、今は今のやつが一番好き。ライブで聴いて好きになった。ギターと歌声だけで聴いていたものがバンドの曲として鳴らされているのが嬉しいしすごく良い曲になっているし、なんかもうカッコよくてカッコよくて。私はこういう曲が好きなのかな。雨とか、delayとか、tenとか。シングルのtenの弾き語りが本当に良すぎて、なんか泣きたい気持ちになる。泣きそうとか泣いちゃうじゃなくて、泣きたくなる。サウンドクラウドにあがってる弾き語りより声が高くて好き。なんかもう、なんでこんなに良い曲ばかりなんだ…。

今日は下北沢近松でCRYAMY。月面旅行やるかな。やらないかな。やってほしいな。下北沢に向かう電車でこれを書いているけど、なんか遅れている気がするような、しないような。今日はソールドアウトだから前に行けないかもしれない。たまには後ろから見るCRYAMYも良いものなんだろうか。いや、私は前で見たいよ。

 

4/26(fri) 新宿Marble 平成最後のCRYAMYを見た

 

いろいろあって、ライブには友達と行くことになっていた。午前中で授業が終わり、GW明けに使うレポートに手をつけてから(終わらせるつもりだったけど終わらなかった)友達の学校へ。他の大学に入ることはなかなかないので新鮮だった。友達と合流してから一緒にその子が履修している5限を受けて(面白かったらちゃんと聞こうと思っていたけど、本当につまらなくて、友達と絵しりとりをしていた)なんとか90分を乗り越え、新宿に向かう。新宿には19時前に着いて、CRYAMYの出番にはまだ少し時間があったのでマーブル近くにある適当な居酒屋に入り、アルコールとエネルギーを摂取しながら時間が来るのを待っていた。

 

20時半頃に新宿マーブルへ。ここへ来るのは1/20以来、二度目になる。友達は中に入るやいなやドリンクを交換しに行って、さっきまで飲んでいたので私はてっきりウーロン茶とかを飲むのかと思っていたんだけど、生ビールを片手に戻ってきたのでビックリした(CRYAMYのライブ後、私も何故かビールを飲んでしまった。ビールの美味しさはまだわからん)。ライブが始まる前に飲み干し、コップを捨てに行った友達が戻って来て少ししてからライブが始まった。

 

フロアの照明が落ちてオオモリさんから順番に登場、一曲目のcrybabyが始まった。先日公開されたMVはもう何度見たかわからない。たった1分で、たった1分だから、引き込まれるしもう一度聴きたくなる。一曲目からタカハシさんのコーラスが目立っていてカッコよかったし、いつもより長く歌っていたので嬉しかった。それが終わると、二曲目テリトリアル。序盤にやるテリトリアルがすごく好き。まだCRYAMYのライブに行き始める前、狂ったように#2を繰り返し繰り返し聴いていた頃は、この曲は私にとって始まりの歌だったから。CRYAMYに出会った曲もテリトリアル、初めて買った音源の一曲目もテリトリアル。この曲を聴くとワクワクする。いつかライブの一曲目を飾ってみてほしい。たぶん今までで一番カッコよくなるんじゃないかと、そう思う。

 

MCを挟んで、正常位。ここの順番がちょっとあやふや。物臭が先だったかな。いや、正常位→物臭→雨の順番だったはず、たしか。正常位は、2月の終わりに西永福ジャムに友達と見に行ったとき以来だった。ありがちな感想かもしれないけど、サビまでのベースがとても好き。良い意味で浮いていて、溶け込んでいなくて、でもクセになるようなベースライン、というのかな。一番の終わりで演奏が少しちぐはぐ?になった気がしたけど、少ししたらもとに戻ったので安心した。雨もすごく良かった。タカハシさんが雨でコーラスを歌っているのを初めて見た気がする。いつも歌っているのかな、気づけていなかっただけかな。すごく良かった。正常位はベースが好きだけど、雨はギターの音が本当にカッコいい。アウトロの途中にある「ジャジャ、ジャーン」という音が好き(伝われ)。雨という曲名に、明るいとは言い難い歌詞、でもそれを乗せるメロディーや掻き鳴らされるギターは真っ直ぐに前を向いているような気がして、それがまるでCRYAMYそのもののようだった。CRYAMYの曲に綺麗事はない、だけどそれが綺麗な事で、絶望と希望が同時に存在しているみたい。憂鬱とか嫌悪とか憎悪とか、そんなマイナスな言葉でCRYAMYを語ることはもしかしたら簡単なのかもしれないけど、たしかにそこに嘘がないのはCRYAMYの良さなんだけど、最近は私は、そういう憂鬱に紛れた光というか、劣等感に寄り添うエゴみたいな、もっと広く言ってしまえばカワノさんの歌う愛が、CRYAMYの一番の良さ、だと思う。終盤のMCでカワノさんが溢した「生まれ変わってもバンドがやりたい」という言葉で、それが確信に変わった気がした。彼にとって平成はクソだったみたいだけど、私はどうだろうな、そんなに考えたこともなかったな。たった20年の人生を私はずっと平成で生きてきて、その最後の最後にCRYAMYに出会って、「平成最後にCRYAMYに出会えて良かった」と言えばもちろんそうなんだけど、それはタイミングがそうだっただけなんだとも思う。それがたとえ令和最初だったとしても私は「令和最初にCRYAMYに出会えて良かった」と言うだろうし、令和最後でもまたそう言うのだろう。初めてテリトリアルを聴いたのは平成最後の秋に差し掛かった頃だったし、初めてライブに行ったのは2018年も残り2ヶ月を切った頃だった。本当に、CRYAMYは滑り込みセーフで平成に食い込んできただけなんだ。でも、CRYAMYと出会ったのが平成最後の秋だったことも紛れもない事実。私がCRYAMYと出会ったのは、この平成だ。

一週間前のリリースパーティーでは一曲目だったディスタンスがこの日は最後から二番目だったんだけど、終盤のディスタンスは序盤にやるそれとは聴こえ方がまるで違う。どっちも好き、どっちも良い。本当にどっちも好きだけど、この日ばかり終盤で良かった気がする。序盤にやるディスタンスで伝わるものが覚悟だとすれば、終盤のこの曲から伝わるものはやっぱり愛情だ。平成のどこかに置いてきてしまったもの、落としてしまったもの、離してしまった人、何がどのくらいあるのか知らないけど、全部全部大切だった証拠がこの曲。イントロ前のMCの最後にカワノさんは「何が平成だ」と叫んでいたけど、少し前に「死ななくて良かったと思ったことはある」と言っていたように、平成にもそういう瞬間が少なからずあったんだろう。この日のディスタンスは、平成へのヘイトなんかじゃない、私には、背負いきれないほど抱えた何かへの愛に聴こえた。愛というと重く感じるからラブにしておこう。カワノさんもよくそう言っている。カワノさんのラブな歌が私はラブだ。それを演奏するCRYAMY、まさにラブカケルゴヒャク!うまい!

これを書きながら思ったけど、私は結構平成は悪くなかったと思う。何故なら、生まれ変わってもまた自分になりたいと思っているから。そりゃ嫌なことだってあったし、自分のことも好きじゃないし、高校生の頃なんか本当に真っ暗だった。それなのに私はまた、自分になりたいと思っている。「戻らない」と歌うディスタンスも、「絶望に触れていたい」と叫ぶテリトリアルも、泣き虫のcrybabyも、物臭も、雨も、平成最後に位置するCRYAMYは、私の今までを肯定してくれているみたい。そんなふうに「そんなんでもいいでしょう」と繰り返すtenは、吐き出すように、言い聞かせるように、平成最後に鳴らされた曲となった。やっぱりラブを感じてしまう。これから私が30歳40歳になったとき、平成のことを思い出せば必ずその最後にCRYAMYがいるだろうし、CRYAMYを思い出せば必ず平成の最後がそこにある。こんな素敵なことってないじゃん、と思う。それなら私はずっと、ちゃんと、平成も悪くなかったと言える気がする。やっぱり、出会うべき人には出会うべき時に出会うのだろうか。私は、平成の終わりに、CRYAMYに出会うべきだったのだろうか。どっちでもいいや、私はそうだと信じたい。

 

令和はもっと幸せにしてほしい。期待してる、CRYAMY。

 

4/20(sat) 下北沢DaisyBar 「crybaby」リリースパーティー CRYAMYを見た

 

カワノさんがライブ中に度々「言いたいことは先に言っておきます」と言って、感謝やら何やらを叫んでいたけど、私もその思いです。結論から言います、最高だった。幸せだった。今でも気持ちがフワフワしていて、ふとした瞬間にどこかに飛んで行きそう、でもどこにも飛ばさないようにずっと掴んでおきたい何かがここにあります。生きててよかった。間違いでも思い違いでもなく心からそう感じた夜でした。全く言葉にならないから、もういっそそのままにしてもよかったんだけど、やっぱりせっかくだからちゃんと噛み砕きたい。あと、こればかりは、CRYAMYに届くといいなと思ってしまっています。図々しくてすみません。

 

一日中、ずっとソワソワしていた。できれば前の方で見たかったけど、チケットは取り置きだし、そしたら先着順だから早く行かないとな、何時くらいに行けばいいかな、早く着きすぎちゃったら下北沢をウロウロしておけばいいかな、なんてごちゃごちゃと考えていたけど、結局駅に着いた頃には17時半を回っていたので、真っ直ぐデイジーバーに向かった。

何度目のデイジーバーだろう。ライブハウスのお手本のような狭さ、暗さ、うるささ、圧倒的日陰感。何度もCRYAMYのライブを見に来たこのデイジーバーで、今日は彼らのリリースパーティーが行われる。地下へ続く階段も、捻る方向が独特なドアノブも、四方八方に貼られているフライヤーも、二重扉もタバコの匂いも全部慣れ親しんだもののように思えてしまって、まるで自分のホーム箱のような感覚。デイジーバーでライブしますと言われると少し安心するのだ。だから今日はデイジーバーでよかった。

前から3列目くらいかな、よく見える位置に自分の空間を作って落ち着いた。取り置きだったのに案外前の方に来られてよかった。中に入ってから開演までは15分くらい時間があったので、とくに更新されないSNSをダラダラと眺めていた。

 

一発目の時速36kmのライブは、開演の時間を7.8分ほど過ぎた頃に始まったと思う。一曲目はたぶんこの場にいた誰もが知る、テリトリアルだった。まさか私はこの日がテリトリアルから始まるなんて思ってもいなかったので、興奮と感動、そして初めて見る時速のライブへの期待感が一気に膨らむ。いつもこの曲はカワノさんの突き刺すような声で聴いているから、仲川さんの少し震えた歌声で聴くテリトリアルは新鮮だった。とても良かった、というか、シンプルに嬉しかった。CRYAMYメンバーが慕うバンドがCRYAMYの曲をカバーしてくれたことが私は嬉しかったのだ。テリトリアルが終わると、いつも一曲目でお決まりなのかな、"三三七拍子"のフレーズで始まる七月七日通り。時速の中で初めて聴いた曲だ。あの時はまだCRYAMYのことも知らない時期で、たぶん去年の夏とかだろうか。この曲のMVの公開日に近いときに聴いたんだけど、その時はあまり印象に残らなかった。でも時が経って秋くらいにもう一度聴いたら、全然違って聴こえて、すごく好きになった。こういうことってよくあるよね。PKshampooなんかも私はその類いだ。

序盤のMCで仲川さんが「他の3バンドがすごく好きだから良い意味で少し緊張している」と言っていたけど、そんなことは一ミリも感じさせないライブだった。石神井川ジンライム(この曲初めて聴いた、良かった)を演奏して、終盤は怒涛の三曲だった。そのうちの一曲目が、クソッタレどもに愛を。この曲のMVと、わたしが今日デイジーバーまで歩いて来た道のりが、頭の中でリンクした。嫌いだった下北沢も、悪くないかななんて思っている自分がいる。こうやってCRYAMYを祝ってくれる場所があって、そんな人たちがいるから。"クソッタレどもに愛を うるさいくらいに愛を 歌っていくよ そのためのギターだろ"というストレートな歌詞、バンドのあるべき姿だと思って素直に感動したのと同時に、素直じゃない私は目線を上げていられなくなってしまって、そこからはずっと仲川さんが持つギターを見つめていた。それが終わると、夢を見ている。私の中で、時速と言えばこの曲だ。「知らない歌 あの子が口ずさむ」という歌詞で毎回胸がきゅっとなる。この一言だけで何を表現しているのかわかってしまうからすごい。私がそう思っているだけかもしれないけど。サビの歌詞は卑怯だよなぁ、どんなに大きいステージで歌ってもきっとずっと最高なんだろうけど、こんなふうに小さいステージだとより一層輝く気がした。これで終わりかと思ったら、だめ押しのスーパーソニック。完敗だ。最高だった。初めてのライブがこんなに良いライブで良かったんだろうか。それとも、いつもこんなにカッコいいライブをしているのかな。とにかくロックバンドだった。一番手を担うに相応しい、堂々とした熱いライブだった。

 

二番目、Hue's。Hue'sは前日もライブホリックに見に行っていた。先月のシェルター以来、完全に虜だ。もう新譜も買ってしまって、我ながらチョロいなぁと反省している。でもHue'sを前にしたらみんなチョロチョロのチョロだろう。貫禄がもう大御所のそれ。音源だけ聴かされて「アリーナでライブしてるよ」と言われても疑わない。曲の降り幅、演奏の重厚感、時速とはまた違ったベクトルで熱いライブだった。

そんなライブの一曲目が、ベランダ。この曲の間奏がすごく好きなのだ。YouTubeでベランダのライブ映像を見たときに、間奏の部分で一気にお客さんの拳が上がっていて、それが本当に素敵だった。"思いきって昨日開けたピアスの穴のような月"という歌詞が好きだ。アルバムを持っていないから100%この歌詞かと言われれば少し怪しいけど、聞き取れる限りではこう歌っている。違ったら恥ずかしいな。ポッカリ抜けた空洞が安易に想像できてしまう。そして"それをずっと眺めていた"と続く歌詞、良すぎないですかね。前日も思ったんだけど、一番最初に鳴らしたイントロがその場を支配していく感覚がある。一点から全方向に広がっていく点対称のような音、徐々に徐々にその空気に侵食されていく、Hue'sはそういうライブをする。ベランダが終わり新譜の四曲の中で一番好きな夏を待っているを演奏したあと、みんな大好きYouth。…なんだけど、あまりにも情報量が多くて、私はもうどこを見ればいいのか、という感じ。まずYouthのイントロで、ほんの一瞬目を逸らした隙に龍さんの首にピンクのローターがかかっていて、もう頭の中「???」という感じ。そのままなに食わぬ顔で最高の演奏を続けるものだから、私にしか見えていないのかと錯覚してしまうくらいだった。ステージの端ではカワノさんが機材かなんかによじ登って最大級の笑顔で("ニコニコ"という擬音の模範のような素敵な笑顔でした)ライブを見ているし、かと思いきやみずやんさんに手招きされて促されるままステージに乱入してサビを歌い始めるし、宴会場かな、ここは。でも最高だった。私は何よりカワノさんがこんなに楽しそうにしてくれて本当に嬉しかった。これを書きながらあの時の光景を思い出して口角が上がっているのが自分でもわかる。Youth、本当に良い曲。それと、個人的に旭さんの水色のギターが好きだ。爽やかさと憂いを同時に孕んでいる、Hue'sのライブにピッタリな色だ。十三ファンダンゴでやったスリーマンの話を読んでから、旭さんのブログのヘビー読者になりました。

あとは、Lukaが楽しかった。バンドはいつまでも私たちの憧れだ。少し前に出てきただけで手を伸ばしたくなるのだから、もはや光。(たぶん)そのあと「CRYAMYのメンバーが好きだと言ってくれる曲」と言って始まったドラマもすごく良かった。胸に詰まっていくような、今にも溢れてこぼれ落ちそうな感覚。何が、かはわからない。とにかく胸の中で着実に何かが増えていく。本当にHue's良い。カワノさん、Hue'sを教えてくれてありがとう。

 

三番手まで隠したPKshampooは、CRYAMYにとって秘密の最終兵器だったのかもしれない。ライブ前に、奇声を上げながらお客さんを掻き分けて(怯えさせて)ステージに向かって行くヤマトパンクス、缶チューハイ(たぶん)片手に音合わせ。ヤバい…。私ここにいて大丈夫かな、ライブ中にロケット花火でも打ち上げるんじゃないかと思った。…これは嘘だけど、そのくらい尋常ではなかった。でも、一曲目の京都線、それに続く空のオルゴールを聴いて妙に納得してしまった。ありえないほど良い曲なのだ。「良い曲」の概念が狂ってしまうくらい良い曲。発明。これほどの良い曲が常人から生まれるわけがない、そういう結論に落ち着いた。あと酔っていたんだろうな。私は空のオルゴールがとても好きで、回るもの、音が鳴るもの、終わるもの、この3つを揃えた"オルゴール"を曲名にして歌詞にも入れ込んだのが本当にすごいと思っている。たった1分半で人生のすべてを見た気になってしまうほどだ。天才肌というのか、カリスマ性というのか、今まで見てきたフロントマンの中でも彼はそれがズバ抜けている。

実際、この辺りからはもうよく覚えていない。断片的なハイライトになってしまうが、君の秘密になりたいの序盤で、ヤマトさんがチューニングの狂ったギターをそのまま放り投げて両手でスタンドマイクを握った瞬間から、全員のボルテージがMAXになった。そのままマイクを持ってヤマトさんが客席にダイブ。ステージに戻ってきたヤマトさんに抱きついたカワノさんを見て、とうとう右手を上げてしまった。まるでスタッフのように座り込んでチューニングを確認するHue's龍さん、歌うPKヤマトさん、お腹から客席に飛び込んだCRYAMYカワノさん、もうなんなんだこの人たちは。好きだ。愛しかない。ここ5年間の最高到達点。そのあと、翼もください、そして神崎川を演奏して、PKshampooのライブはそのラインをキープしたまま終わった。無敵とはこういうことなんだろう。ここまで上がった熱はもう下がることしかできないのか、そんな気持ちで、CRYAMYの出番を待った。

 

PKshampooのとき、たぶん本人も予想外のダイブだったのだろう、カワノさんがポケットにスマホと財布を入れっぱなしのまま飛んでしまったみたいで、スマホが見つからないというハプニングがあった。それがないと音の調節ができないらしくライブが始まらないので、みんなで足元を覗き込んだけどどこにも落ちていなかった。だが、それもそのはず、結局楽屋にあったみたいだ。人騒がせな主役、なんかワンピースの主人公みたいだなと思った。

さっき"この辺りからはよく覚えていない"と言ったけど、本当に覚えていないのはここからだ。SEが鳴って、オオモリさんが気合い十分で出てくる。その次に、タカハシさんが少し気だるげに、フジタレイさんがスマートに、そして早歩きぎみでカワノさんが出てきたときに、後ろから少し前に押される。カワノさんの最初の一言、「CRYAMYですよろしくお願いしまーす」と同時に、"思わず溢れてしまった"というような彼の笑みと始まったディスタンスのイントロが引き金となって、これまでの3バンドで溜め込んだすべてが弾けた。いや、爆発したと言ったほうが正しいのかな。人それぞれ、それが拳だったり叫びだったりジャンプだったりしたんだろうけど、私は涙でしかなかった。初っぱなのイントロでボロボロに泣いてしまった。PKshampooで上がりきった熱は冷めることなく壊れていったように思えた。なんなら私はこの一曲中ずっと泣いていた。今まで溜め込んできたものはこれだったんだ。カワノさんはギターを客席に放り投げて、歌うこともせずに、ただこっちが伸ばした手に応えるように手を伸ばし返してくれた。カワノさんが歌わない部分は私たちが歌った。一曲目のディスタンスも二曲目のテリトリアルもそうだった。カワノさんが私たちにくれた曲は、ちゃんと届いている。ちゃんと大事にしている。今日はそれを一時的に返しにきたんだ。全員分のそれをすべて受け止めた4人がその日一番輝いていたのは、言うまでもないのかもしれないな。

三曲目は、シングル「crybaby」の収録曲の中で一番最初に演奏されることとなったpink、続いて「好きだと言ってくれる人がたくさんいるから練習してきました」と言って始まった四曲目ビネガー、五曲目には鋭い普通。そして、友人のダンくんへ捧げた六曲目の物臭が中盤を支えた。個人的に、「重い腰だって上げ"た"けど」という歌詞変えにドキッとした。どうしても負の念が付き纏うこの歌詞は、こんなに綺麗なメロディに乗せられている。だから私は物臭の歌詞が好きだ。綺麗なメロディにも昇華されない後悔や憂鬱は、CRYAMYの中でも段違い。だから「あなたに言うように」の一言が、こんなにリアルに響くのだ。

「みなさんが死にたいと思ったときは俺も一緒に死にますよ」という言葉を吐き捨てて、七曲目の月面旅行が始まった。カワノさんのサウンドクラウドで聴いているときに聞き取れない箇所もあったけど、やっぱり、最後は「後は追わせてね」と歌っている。MCを聞いてそう思った。そうじゃなくてもいい、私にはそう聞こえたんだ。本当に「CRYAMYとわたし」だと言うなら、私が死ぬときはCRYAMYが死ぬときなのかもしれない。だってCRYAMYとわたしなのだから。だから私は、死なないように頑張るしかない。

そして八曲目にシングルの表題曲crybaby、そしてラストは九曲目のtenで締められた。pink、物臭、crybaby、tenと、シングルの曲順と同じ順番に散りばめられているから面白い。書いてみて思ったけど、本当に覚えていないな。でもその日に書いた日記を読み返したら、「好きな音楽が報われた日は私が報われた日」と書いてあって、思い出した。CRYAMYが報われたのかどうかはわからないけど、勝手にそう思ってしまって、自分まで報われた気分になった。私はCRYAMYに懸けているんだと気づいた。カワノさんが「命懸ける」と言ったときには「私は何も懸けてあげられない」と思ったけど、懸けていた。これが、懸けるということなんだ。嬉しいも悲しいも苦しいも愛しいも全部CRYAMYに捧げたから、いま私のアイデンティティーはCRYAMYにある。だから、私の気持ちを持っているCRYAMYが報われた日は私が報われた日だ。CRYAMYが幸せなら私も幸せだ。その逆だったとしても、だ。だって、CRYAMYとわたしなのだから。

CRYAMY史上初めてのアンコール、一曲目はtwistedだった。なんかアンコールに持ってこいの曲だな。やっぱり最初の一言は「ラブソングやります」だったし、しっかり両手で作られたハートマークは、間違いなく私たちに向けられたもので、このバンドを好きになって良かったと心から思った。そんなことを思えるバンドなんてそういない。タカハシさんのコーラスも好調、大好きだ。それが終わると本日二度目、時速も合わせると三度目、そしてこの日の最後となるテリトリアルが始まった。二回目が来るとは思っていなかったから嬉しかった。なんせ序盤のテリトリアルは号泣していたのでよく覚えていないし、そうでなくても揉みくちゃにされてよく見えなかったので今度はしっかり焼き付けようと思った。なのに、覚えていない。なんかスポーンと記憶が抜けている。思い出せるのは、アウトロの部分でドラムに突っ込んだカワノさんとタカハシさん、それに笑うオオモリさん、ただ客席を見つめてギターを鳴らすフジタレイさん、その光景だけはまだ鮮明に頭に残っている。一生忘れない、なんてことはできるのだろうか。無理なんだろうけど、思っちゃいるんだよ。忘れたくないと思っているんだ。

前後しちゃうけど、ディスタンスの、ラストのサビ前の部分でだったかな、違ったかな、とにかく一曲目のディスタンスのときに、「生きててくれてありがとう」か、「生きててくれてよかった」か、そんなニュアンスのことをカワノさんが言ってくれた。そんなことを言われたら、これからも言ってくれるなら、死ねるわけないよなぁ。ずっと"CRYAMYとわたし"でいたいから、なんとか、死なないように頑張るよ。

 

そんな感じかな。テリトリアルで始まりテリトリアルで終わった4時間は、過去最高にカッコいいライブを4回も更新して、最後はそのバロメーターが振り切って壊れた。そうなるともう、楽しかったとか幸せだったとか最高だったとかそんな言葉しか出てこないな。

 

全部が終わり外に出ると、案外暖かかった。冬はもう終わったみたいだ。下北沢を出て最寄り駅に着いたところで、友達と合流して少しだけ飲んでから帰った。財布にしまってあった千円札を出して買ったcrybabyを開けて一度だけ聴いてみたけど、耳鳴りがうるさくてよく聴こえなかった。

 

私は生きててよかったと思った。CRYAMYもそうだったら、こんなに良い日は他にないよな。