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好みの話じゃなくて、好きの話

3/4(mon) 下北沢SHELTER CRYAMYを見た

 

いつもと何が違うのか、と言われればちょっと難しいんだけど、なんかこの日はすごく良かった。めちゃくちゃ良いライブだった。カッコよかったとか感動したとかとはまた違くて、それは大前提にあるとして、"良いライブ"だった。一皮剥けた感じというか、何というか…。とにかく私はいつもよりもすごく興奮したし、終わった後に残った熱から逃げるようにそそくさとシェルターを出た。外に出ると、前日から続いていた雨がまだ微妙に降っていて、空気の冷たさが心地よかった。下北沢の駅に着いたら130円の切符を買って改札を抜けた。ホームに出るとすぐに電車がやって来て、空いている車内の端っこの席に座ると、ようやく、興奮が少し引いたように思えた。

 

実はCRYAMYの前のHue'sもすごく良くて、私はYouthと夏を待っているくらいしか知らなかったんだけど、文句なし別格のライブだった。ビックリした。こんなに良いなんて知らなかった。とくに夏を待っているの一つ前の曲がすごく良かったんだけど、あとでメンバーのTwitterを見たらセットリストが載せられていて、「Akiraboy」という曲だとわかった。CD買えばよかったなぁ。Youthは本当によく聴いた曲だと思う。すごく好きだ。この日、初めて生で聴いた。圧巻、感動。サビまでがちょっと長くて、Aメロ、Bメロ、サビかと思いきやまたAメロ、Bメロ、引っ張るような短い間奏のあと、ハードルを上げに上げてそれを優に飛び越えるサビのメロディ、コーラス、めちゃくちゃ良かった…。失敗した、もっと良いポジションで見ておけばよかった。4/20がますます楽しみになった。Hue'sのボーカルの歌い方というか、発声の仕方というか、歌ってるときの姿?がBUMPの藤原さんに似ていた。ファンは彼のことを「藤くん」とか言ったりするけど、私は好きになった頃からずっと藤原さん。何故なら尊敬しているから。大尊敬、もはや神だから。

すごい良いじゃん…と思いながらCRYAMYの出番を待った。カワノさんは骨折しているし、フジタレイさんの指の状態もわからないし、シェルターに着いてから一度もタカハシさんを見かけてないしで少しだけ心配な気持ちがあったけど、いざ出てくるとフライングV(私は知らなかったけどこういう名前?呼称?らしい)がなかなか似合っていたので安心した。ROKIもオレンジスパイニクラブもHue'sも「どこからこんなに来るの?」というくらい人がいたけど、CRYAMYも負けないくらいたくさんいたので嬉しかった。なんか、見た感じだと、ROKIとオレンジスパイニクラブを見に来てるお客さん、Hue'sとCRYAMYを見に来てるお客さんで層が別れていた気がする。

 

雨とdelayを少し演奏したあと、一度捌けてからライブが始まった。カワノさんの、骨折してる人とは思えないようなジャンプ。フジタレイさんのギターはまだ少し血が残っているように見えた。今さらだけど、私、タカハシさんのファンかもしれんな…。とにかく向かって左側に目がいく。視界の軸が左。いつもベース側に陣取ってるし。タカハシさんのコーラスが本当に好き。感覚でしかないけど、カワノさんの声と合ってる。聴き心地がいい。カワノさんに負けず劣らず暴れてるのも好き。あっち行ったりこっち行ったりしてるのがたまらん。

ten、普通、ピンク。ピンクかっこいいなぁ、これがシングルの一曲目かぁ、良いよなぁ。あ、今日いつもと違う、と思ったのがピンクを演奏しているとき。カワノさんがフジタレイさんの胸ぐらを掴んでいた。前もフジタレイさんに蹴りを入れていたし、なんでそんなに乱暴するんだ、と少し笑ってしまった。3日前の吉祥寺では声が掠れていたけど、この日は喉の調子は悪くなかったみたいで、綺麗、とは言いがたいかな、でもよく通る高音が聴けてよかった。ピンク、マジでカッコよくない?テリトリアルとか普通とかとはまた違ったカッコよさ。「夢精 誘蛾灯 糸が」の語感がたまらない。歌いたくなる感じ。

本当に、とくにこの曲が!とか、このMCが!とかはないんだけど、全体を通してすごく良いライブだった。「ギターがぶっ壊れようが足が折れようが俺はバンドをやめません」とカワノさんが言った。この前の吉祥寺のMCでは、「この四人でやっていく」と言っていた。ああ、じゃあ、この四人でバンドをやってくれるんだなぁ、と、安心した。

例えば、ラッドはドラムが休養?で3人になって、SALOVERSは解散して古舘佑太郎が新しく2を初めて、baseballbearはギターが失踪、フジファブリック志村正彦が亡くなり、ポルノだってもともと3人だった。紆余曲折、いろんなバンドにいろんなことがある。なんか、おかしいよな。そのバンドにしか鳴らせない音楽ってなんだろう、そのバンドの何が好きだったんだろう、本当にそのバンドが好きだったのかな。そのバンドじゃないといけない理由なんて、どこにもないだろう。と、そんなことをウダウダ考えても「まぁいいや」と思えるのは、私が、CRYAMYを信じているからなんだろうなと思う。というか、信じきっているからなんだろうなぁ、と。CRYAMYは解散しない、脱退しない、死なないって。良いか悪いかわからないけど、私は音楽をそういうふうにしか聴けない。"これを信じていれば救われる"とか、そんなふうにしか聴けない。だから音楽は助けてくれないと知ったときは本当にショックだったし、一方的に信じて一方的に裏切られた気分だった。でも私は今、CRYAMYの曲はもちろん、四人のことも信じているんだろうな、と、マジで気持ち悪いけどそういう感じ。距離が近いからこそではあるけど、ずっと"これだけは!"と思って信じてきたバンプよりも、そういう気持ちは強いと思う。何をもってCRYAMYとするかはもう彼ら次第だけど、CRYAMYでいる限り私はずっと好き。次の日はTHREEに行ってきた。三人いれば音は鳴るから、バンドは良いなと私も思った。

 

テリトリアルの冒頭、ノイズに紛れてカワノさんが放った言葉は、ひとつも聞き取れなかった。でも私はあの光景が忘れられない。いつもより高いステージ、それでもやっぱり狭いスペース。カワノさんの表情、爆音のノイズ、ドラムの破裂音。あれ、私の音楽の趣味ってこんなんだっけ。いや別に、うるさいのが好きというわけではない。歪んだギターの音なんて、私にはわからない。チューニングも名前しか知らない。でも、良かった。最近、音楽で感じたことを言葉にすると、なんか悪いことをしている気分になるけど、さすがに「良かった」という感想しか出てこないと少し笑えてしまう。でも、それしか出てこないし、しょうがない。"良い"ものは"良い"としか言いようがない。あそこにいたみんな、どうせ同じ気持ちだろうし。カワノさんの足が折れていることを、私は途中忘れていた。

 

ライブレポとは言いがたい散文、恥ずかしいけど載せてしまうのは、誰かに見てほしいからなんだよなぁ、不思議。