INDEX FOSSILS

好みの話じゃなくて、好きの話

 

吉祥寺warpでCRYAMYと2が対バンしたの、自分の中で感慨が深すぎてもう言葉が出てこなかった。私が中学生の頃からずっと好きだった古舘と去年好きになったCRYAMYを同時に見られる、サーキットフェスとかじゃなく、普通の、ライブで。カワノさんは「このメンバー以外ではもうバンドはやらない」と断言していて、でも古舘は私が好きだったSALOVERSとは別のメンバーを集めてバンドをしていて、それぞれ、人それぞれなんだなぁって。距離遠すぎて逆に「古舘」って呼んじゃってるけど、まさかwarpであの距離あの近さで古舘を見られるなんて中学生の頃の私が知ったら驚くだろうな。ずっと楽しみにしていた日だったから終わっちゃって悲しいけど、また対バンしてくれたら嬉しい。転換中に突っ立っている私の横を通りすぎた2のドラムのゆっこちゃんがカッコ可愛すぎて一撃でファンになった。良い匂いしたし。次の日かその次の日くらいに髪の毛を切る予定だったんだけど、ゆっこちゃんに憧れすぎてウルフにするか本気で迷った。あの時着てた柄シャツも可愛かった。すぐにインスタをフォローした。ハンプバックのベースの子と仲良いみたいでラブって感じ。ライブ中は古舘よりもゆっこちゃんを見ていたかもしれない。この日はズボンだったけどたまにワンピースとかでドラム叩いてるからね、ワイルドすぎる。というか、ゆっこ"ちゃん"でいいのかな?距離感近すぎ?ゆっこ"さん"?とにかくマジで惚れた…ああなりたい…理想すぎる…。女の子のバンドマンで本気で「カッコいい!」って思ったの、初めてかもしれない。マジで好き。あーーー本当に良かったなぁ、2めっちゃ良いじゃん、めっちゃ良い。勇気出して話しかければよかったな。FALLFALLFALL聴けたの本当に嬉しかった、感動した、感動しすぎて金木犀の匂いがする香水買ってしまった。年末にシェルターでやるハンプバックとのツーマン、ハンプバック好きな友達誘って行こうかな。"同じ月を見るふりをして"、タイトルがオシャレすぎるなぁ。12/26、CRYAMYライブないですか?チケット取っていいですか?もう少し待とうかな。やっぱり今はCRYAMYが一番見たいから。10月はあんまりCRYAMY見れないけど11月はたくさん見れるから嬉しい。誕生日にライブ来ないかなぁと密かに期待してる。それに11月は横浜でライブしてくれるから本当に嬉しい。私が毎日闘っていた横浜、良い思い出も悪い思い出も全部詰まっている横浜。神奈川と東京は別だから、CRYAMY初の神奈川(だよね?)が嬉しすぎる。嫌な記憶を上書きしてくれ、CRYAMY。

 

TOKYO CALLING

 

トーキョーコーリング行ってきたので記録する。改行ポイントがわからず終始だらーーーーーっとした文章なのでバンドごとに太字にしておく。

 

9/15 下北沢

寝不足&酒も抜けないまま下北沢に向かった午前。なんかサウクルのときもこんな状態だったなぁと思いながら下北沢に降り立つとカラリと晴れた空や照りつける日差しの暑さまで同じで、CRYAMYのガーデンでのライブを思い出した。最初は近松Ccaseを見る。YouTubeに載っているPeaseという曲が好きだったので行ってみたけど、ライブで見たら「ダラダラ」が一番良かった。未成年青春実録も好きだな。個人的にベースの方がライブ中マジで微動だにしないのがすごく気になった。良いとか悪いとかじゃなくて気になった。なに考えてるんだろうと気になった。ライブ後にCDを買うとき、ボーカルの石ツさんが物販にいて、何気にバンドメンバー本人から物販を買うのは初めてだったのですごく緊張した。さっき再生した5曲、いや6曲を500円で買ったのかと思うとなんだか怖くなった。月額だか年額だか知らないけど定期的にお金を払って聴き放題という形をとってるサブスクよりも一度お金を払えば永遠に自分のものになるCDのほうがよくない?永遠に自分のものにしておきたい音楽に限るけど…。そのあとはなんとなく軽い気持ちでガーデンへおいしくるメロンパンを見に行ったんだけど、あのデカい箱がパンパンで入場規制だったのかな?わからんけどとにかくぎゅうぎゅうに詰め込まれて、2、3曲で出ようと思ってたのに結局最初から最後まで見てしまった。知ってる曲何曲かやってたけど私は色水が聴きたかったなぁ。前の方は女ばかりだった。寝不足だったので貧血との闘いだった。しかも人混みだと気持ち悪くなる…。そのあとはお昼ご飯を食べつつ休憩して、あまりの眠さに動くのが面倒くさくなってしまい時速は飛ばした。友達とLINEをしながら(その友達はこの日誕生日だった。おめでとう)ガストでグタグタしてから意を決して外に出て251へROKIを見に行く。着いた頃にちょうど前の出番だった時速が終わったみたいで続々と人が出てきた。体調はかなり回復していたので調子に乗ってジンバックを飲みながら開演を待つ。ROKIは初めて見た年末のデイジーバーから、本当に徐々に徐々にジワジワと好きになっている。フェルマーとミルクポットの雨がとても好き。そのあとは近松SUP。SUPは7月にPKshampooのツアーで新代田フィーバーでのライブを初めて見たんだけど、なかなかカッコよかったのでまた見たかった。音源が欲しいんだけど物販で買わなかったのでネットで探してみる。ベースメントとかで売ってるかな。「あいつに救われた~」って曲が好き(歌詞合ってるかな)。そのあとは古着を見つつ時間を潰し、デイジーバーにタカナミを見に行ったりもしたんだけど聴きたかった曲(東京)が聴けたので満足して途中で抜けて、近松Hue's。私のトーキョーコーリングはここからである。セットリストが恐ろしかった。こんなん、アリなの?!というようなセットリスト。爆発的に良かった。爆発的に良いってなんだ。初っぱなのLukaのあと、世界の終わりを挟まずすぐに入ったyouthのイントロがあまりにもカッコよかった。Trash、Akiraboy、umieumie、ベランダ、夏を待っている、の順番だったかな。秋に聴く夏を待っている、最高だった。「青くなった僕らのメロディーは何度も 夏を待っている」って、夏前に聴くのと夏後に聴くのではあまりにも聴こえ方が違う。ここに来て初めて"何度も"の意味がわかる感覚。ラスサビ前の間奏も堪らない。ライブ、って感じ。ああいうのを見るために私はライブに来ている。誰にも理解されなくていいよ。その次は同じく近松オレンジスパイニクラブ。たぶんライブを見るのは3回目かな。あまり曲は知らないんだけど、やっと彼らの良さに気づきつつある今日この頃。最近は敏感少女が好きでよく聴いている。音源どこ探せばあるんですか?誰かセトリ教えてくれませんか?バンドを追うのも簡単じゃないな…。そして最後、PKshampoo。これもまた近松。覇王色の覇気が出ている。一曲目の星から最後の京都線まで呼吸が止まった感覚だった。思考とか感情とか自分のこととか、もうそういうの一切関係なしにただただ音楽に感動した。美しかった。夜間通用口は月のことを考えながら書いたと言っていたけど、ヤマトパンクスの書く詞は"空"とか"星"とか"月"、そういう類いの言葉がよく出てくるからロマンチストなんだなぁと思っている。「僕だけを選ぶ神様が」という歌詞、「僕だけを選ぶ神様(のような人)が」って意味なのかなと思った。4人ともオーラがありまくりだし存在感がすごかったけど、鳴らす音鳴らす曲すべて急にパッと消えてしまいそうというか、夢みたいというか、幻想的?ちょっと違うけどそんな非日常感がPKshampooのライブにはある。君がいない夜って何してたんだろうなというか、PKshampooがいる夜って何してたんだろうなって感じ。アンコールの神崎川も覚えているようでよく覚えていない。みんながそうなのかはわからないけど私はそう。まとまらなくなってきた。とにかくPKshampooめちゃくちゃカッコよかったです。夜間通用口で誰かがダイブしたときヤマトパンクスもそれを見て客席に降ってきたし、いつだったか忘れたけどみずやんさんも何かの曲でステージ袖から飛び込んできてた。京都線の最後で客席にグルンとマイクを回したヤマトパンクスはなかなかイケてた。終わる頃には前方は男だらけになっていた。PKshampooって男人気すごいよな…。私のトーキョーコーリングはそんな感じだった。下北沢を出たあと友達と合流して氷結で乾杯し、二人で散歩をしてたら雨が降ってきたので23時頃に解散して家に帰った。めちゃくちゃ疲れていたし眠かったので1時前に就寝して、5時くらいに一度目が覚めたけどすぐ二度寝、8時くらいにも目が覚めたけどまた二度寝、完全に起床したのは14時前だった。そしてまた眠れずに深夜1時を過ぎた今。明日は1限から学校なのでもう寝ないと。

 

8/23(fri) 寺田町Fireloop CRYAMYとHue'sを見た

 

Fireloopから耳鳴りだけ持って家まで帰ってきた。あらゆる全てを置いてきたのかと思うほど、その後の時間は、なんかもう、無。まだ薄暗い早朝の寺田町(意図せず韻、踏んでしまった)なんか、この世の終わりくらい荒んで見えた。そういえばYouthはライブだと世界の終わりの間奏から始まるけど、あれは本当に、どうすればそんなことが思いつくんだろうか…。とりあえず時系列に添って、関係あることないことだらだら書く。もう決めた。だらだら書くから!メリハリのある文章だと思うなよ、そんなのいつも書いてないけど…。

 

ことのはじまり?は8/19まで遡る。その日は新代田フィーバーでCRYAMYとHue'sを見た。開演から行こうと思ってたんだけど、昼寝をしたら完全なる寝坊をかまし、CRYAMYすら危ぶまれる時間。15分で化粧から髪の毛、着替えなどすべての支度を終え(人間、やればなんでもできるんだな)なんとか間に合った。この時は大阪のツアーファイナルは行かないつもりだったので、しっかりとHue'sを目に焼き付けておこうと思ったら焼き付きすぎて離れなくて、ファイナルのチケットを取らなかったことを死ぬほど後悔した。アンコールでのSwanが素晴らしいのなんの…。音源が欲しい。聴きまくる。あとはもう本当に個人的に、最近すごくやるせない気持ちが続いていて、23日のCRYAMYを見たら何か得られるんじゃないか、欲しい言葉をくれるんじゃないか、そう思ったらどうしてもどうしても大阪に行きたくなって、キャンセル分のチケットを滑り込みで手に入れた。そういう経緯で当日、新横浜から新幹線に乗り込んで、いざ大阪、寺田町はFireloopへ!

 

なんて意気込んだものの、大阪は酷い土砂降りだった。人が想像できる限界くらいの雨が降っている。だからと言って気分が下がるというわけでもなかったけど。寺田町に着いても弱まることのない雨を見ながら駅の改札前で少し突っ立ってると、ちらほらとライブハウスに向かうであろう人たちが見えた。格好とか雰囲気でなんとなくわかる。PKshampooのTシャツを着ている人なんか絶対にそうだろう。止みそうにないので駅のドトールに入った。会場時間頃に外に出ると雨はかなり弱まっていたので、とくに濡れることなくファイアーループに入れた。そういえば、初めての大阪だったんだけど、本当にエスカレーターは東京と反対だし、みんな関西弁だった。バイト先にも関西の人が何人かいるし最近ジャルジャルのコント動画をずっと見ているのであまり違和感はないけど、ほんのり大阪を感じられて良かった。あとは、タカハシさんのジャージがヒョウ柄だったことかな。

 

10分くらい押して始まったCRYAMY。フジタレイさんの金髪が綺麗。あと髪が長い。序盤のテリトリアル、sonicpop、crybabyの流れはここ最近で一番好きだった。私はとにかくsonicpopが好き。というか、たぶんみんな好き…。#3に収録されることを期待。crybabyではやっぱりカワノさんが客席に飛び込んでいた。ライブを通して2回くらいダイブしていたからcrybabyのときだったかどうか曖昧だけど、ステージに押し戻されるときに天井のパイプ?なんか管みたいなやつに足を絡めて張り付いていて、蜘蛛みたいだった。めちゃくちゃでぐちゃぐちゃでカッコよくて、それなのに「ちゃんと泣いた」と歌うcrybaby、本当に良い…。

普通、雨の順でやったこの2曲がこの日のライブの中でとにかく光っていた。普通の終盤のサビの繰り返しの部分で、急にレイさんのギターの音かメロディーかが変わった?のがありえんほどカッコよくて、私は油断していたのかわからないけどそれに本当にドキッとしてしまい、もう全部持ってかれた。ずっとドキドキしたまま普通が終わって、「雨降ってるので」というカワノさんの言葉と、レイさんのギターから始まる雨。正直泣きそうだった。"精一杯生きた結果こんな仕打ちで笑っちまうよな"、ほんと。勝ち目ないのに息しちゃってる自分が情けない。それでも最後の、やっぱりレイさんのギターがバカみたいにカッコよくて、こんなに攻撃的でそれなのに綺麗で優しいメロディーは勝ち目ない人たちが鳴らすものじゃないし、CRYAMY勝ってるし、誰がなんと言おうと私の中でCRYAMYは全戦全勝だし、そう考えると今の私はこんな素敵な味方(勝手に味方だと思ってます)がいて、心強い。

月面旅行かな、ディスタンスかな、たしかディスタンスだった気がするな、その直前のカワノさんのMCは、予想したとおり、私が今一番欲しい言葉だった。「9割世界を恨んでいてもどれだけ嫌でも1割何かがあれば救われる、生きていける」と、そんなニュアンスのこと。ここで私は、その1割が音楽だとかCRYAMYだとか胸を張って言うことはできないけど、だって世界中すべてが嫌になったときは音楽なんて聴けなかったから。でも、そんなときでも、1割、いや、もっともっも少ない割合だけどたったひとつだけずっと信じていたものがあって、それがあったから大嫌いな世界で私は生きていけて、それだけのために私はそんな世界で生きていて、そのときは味方なんていなかったけどね、私は、可哀想じゃない。そう思っていたら泣きそうになって、辛気くさい顔をしていたらディスタンスが始まって、もう今下を向いたら、瞬きをしたら落ちるというところまで涙がきていて、でも泣きたくなかったから必死に前を向いて目を凝らしてステージを見ていた。なんかもう一言で言うなら本当に苦しかった。でもそれ以上に、ただただCRYAMYがカッコよかったからもうなんでもいい。世界中、といっても私の世界の中だけの話だけど、それが私にとっては世界の全てだし、その全てが嫌になったあのときの自分が、ずっと世の中を恨みながら今も生きているんだけど、CRYAMYがいてくれて本当によかったと思っている。そのくらいCRYAMYとの出会いは革命的で突然で、人生ひっくり返った。歌詞、音、メロディー、声、ライブ中目が合っても絶対に逸らさないカワノさんの視線も全部、刺さって抜けない。こんな絶望的で希望的なバンドに出会えてよかった。というか、ここまで好きになれるものができただけで私は幸せ。好きなものに出会えないとかいう人だっている中で、一人で大阪に来ちゃうくらい好きな音楽ができたんだし、それだけでもう嬉しいことだよなぁ。あと、tenが終わって最後の最後、オオモリさんがスティック投げたの本当にカッコよかったです。

 

CRYAMYが終わって転換中、次はHue'sだとワクワクしていたんだけど、その反面、本当に気持ちの切り替えが難しかった。CRYAMYの段階でもう明確な負の感情に支配されて、そりゃCRYAMYはカッコよかったけど私はダサかった、拳もあげられずただ涙を堪えることに必死で。それでもHue'sの準備中、女はうるさいし煙草は臭いしヤマトパンクスはいるしでいつものライブハウスとなんら変わりなくて、私一人余韻が抜けずに放心している。そんな中始まったHue'sは、一曲目のベランダでもう感無量というか、やっぱり間奏がものすごくカッコよくて、その瞬間のライブハウスの空気を全て旭さんのギターが担っている感じがもう堪らなかった。レイさん然り、今回はギターの二人に持っていかれっぱなし…。何度も言うけど(本当に何度も言っている)YouTubeでこの曲のライブ映像を見たとき、この間奏があまりにもカッコよくて、ここで一気にHue'sに惹かれた。凛としたカッコよさ。自分が"音"や"メロディー"にこんなに感動できるとは思っていなかったからそれも少し嬉しかったことを覚えている。めちゃくちゃ良い曲なうえに思い入れもあるのでこの日の一曲目がベランダで本当に良かった。あと龍さん髪の毛切って、前々からどことなくバンプの藤原さんを彷彿させていたけどさらに似てきていた。

三曲目のTrashはまさか聴けると思っていなかったから普通に感動してしまった。この曲はトラッシュノイズが解散するときに書いた曲?だそうで…。私、本当にオタク気質というか好きなものはとことん知りたい、掘り下げたい派なので、YouthのMVでちょこちょこ映るコンクリートの落書きをその都度止めて何が書いてあるのか確認したことがあったんだけど、そこに"トラッシュノイズ"と書いてあったのは少し鳥肌が立った。あとはもう、もしこれを読んでいる人がいればぜひ見てみてほしい、本当に良いMVだなと思ったから。そう思うとこうやってヤマトパンクスがライブを見に来ていることが感慨深くなる。服真っ黄色でピカチュウみたいだったけど。でも、ちょっと脱線するけどヤマトパンクス、背高いし顔カッコいいし、それに良い曲作るし関西大学(留年してるけど)だし非の打ち所無…と思った。あと初大阪にして京都線に乗車したので車内で京都線を聴くという大阪でやりたいことランキング第二位をさっそく実行した。第一位は無論、神崎川神崎川を聴くことです。

長い夢が覚めての最初で龍さんがギターを交換してお酒を飲むのをただじっとメンバー3人が優しく演奏しながら待ってるのがなんか良いなぁと思ったし、それが終わってイントロのメロディーに入ると、ここでやっとファイアーループの音が他のライブハウスとちょっと違うことに気づいた。どこであっても微妙な違いはあるのかもしれないけど私には正直よくわからなくて、でもファイアーループは明らかに低いノイズがもうボワァァアってしていて(笑)、脳の中まで響く感じ。難しい。表せない。行けばわかる。

バースデイからのラスト4曲は「楽しい」以外の感情がなくて、さっきまでCRYAMYで泣きそうになっていたのが嘘のよう。照明がカラフルに点滅していてすごく綺麗。たしか、今年の4月に下北沢のライブホリックで2回目のHue'sを見たときにもバースデイをやったんだけど、その時もカラフルな照明が曲に合っていて良いなぁと思った記憶がある。あれは自分たちで決めてるのかな?すごく好きだ。その次のLuka、Youth、Hateはもう素晴らしすぎた…。LukaやYouthのような曲はみんな好きだし楽しいし、Hateでその状態を維持できるのが、本当にHue'sはすごい。というかもう楽しくて楽しくてYouthのサビで拳突き上げたらその瞬間に目の前からレイさんがぶっ飛んで来てとてもビックリした。受け止められなくてすみません…。そしてヤマトパンクスも上から流れてくるし、一瞬落ちそうになったから手を少し伸ばしたら手首をめちゃくちゃ捕まれて「あわわ…」となった。このときだったかな、いや、アンコールのAkiraboyかもしれない、本当に楽しくてニコニコしながら見てたら旭さんと目が合って(そんな気がした)なんとなく恥ずかしかった。私笑いすぎ。そんな混沌とした状況の中、「ねえそこで思い出して揺らぐ言葉 あの時のメロディーを そのメロディーを」ですか…、もう、この歌詞、素敵。Youthのサビの歌詞本当に好き。音楽に対するすべてすぎる。この曲に「Youth」というタイトルをつけるのも素晴らしいし、もう言うことが尽きないんだけどそのくらいこの曲は本当にもう、良い。そしてそのあとのHateはライブを綺麗に締めくくった、文句なしの演奏だった。もう、体が揺れる揺れる。みんながそうだからこのファイアーループも揺れる。思い出して泣きそう。本当に、行ってよかった。

アンコールのAkiraboyは嬉しい楽しいしという感じで、ロックンロールもパンクロックも実を言うとミッシェルガンエレファントだって別に詳しくない、でもHue'sやCRYAMYは大好き。左に飛んできたレイさん、右に流されるヤマトパンクス、真っ正面にHue's。今夏最大の幸せ。龍さんがライブ中に「夏の終わりに選んでくれてありがとう」と言ってくれたけど、私はむしろ、やっと夏が始まった気がした。というより、終わらないで欲しかった。夏も、ライブも、全部。それでも終わりは来る。夏もライブも全部。

冒頭で言ったようにその後の時間は無だった。書くのも嫌になるくらい無の時間を過ごした。家に帰ってからも寝ずに過ごした大阪の反動で一日中ベッドから動けずにいた。次の日にようやく、毎年8月の最後の土日にやる地元の小さなお祭りに行って、そこで食べたじゃがバターは夏の終わりの味がしたし、それと一緒に飲んだくだらないお酒は絶望するくらい美味しかった。大人になりなくないと思った。Youthという曲が余計に忘れられなくなる瞬間だった。

 

さて、とは言っても大学生の夏休みはまだあと1ヶ月ほど続く。残暑が惰性に追い討ちをかけてきそうだし、案外スッと秋になりそうでもある。でも、忘れられない、忘れたくない思い出ができたし、ライブ中もりかずさんが言っていたように、それがあればこの夏が終わることも許せるような気がしている。

 

夏の夜というのは、どうしてこうも、おセンチなメンタルになってしまうのだろうか。

今日はどうしても誰かと話したくて、というか、誰かに会いたくて、人の顔を見たくて、午後7時、行く当てもないのに日が沈みきらない外へ出た。いや、正確に言えば、日は沈んでいたんだと思う。それなのにまだ外は明るくて、夏の太陽が持つ力をひしひしと感じた。

 

つい一週間くらい前、バイトが終わったあとに、友達と友達と友達と先輩と知り合いと私の6人でお酒を飲んだ。結局朝方まで飲み倒したあと、どんな流れか覚えていないけどそのままカラオケに行って、帰宅するときにはスーツや制服を着た老若男女にゴミを見るような目で酷く疎まれたことが飛び飛びの記憶の中に残っている。その日の朝日は今までで一番眩しく感じて、私は生まれて初めて夏を呪った。

 

家を出たあと、ただなんとなく歩きながら捕まりそうな友達に連絡を入れる。と、言っても、実際に連絡したのは三人だけ。浮かぶ顔はあれど、自分から誘うことができない人が大半だった。三人中二人からは「無理」と返事が来て、一人は既読すらつかない。男の子の顔が浮かんだあたりから考えることを止め、蒸し暑さに耐えきれなくなったので近くの大きな書店に逃げ込んだ。文庫本コーナーで適当に本を物色していると、既読もついていなかった友達から「いけるよ」と。嬉しくてすぐに連絡を返し、駅前で合流してから初めて行く焼き鳥屋に向かった。

一日ダラダラしたあとのビールは格別に不味い。バイト後に飲むそれが美味しく"感じる"のは、やっぱり喉が渇いているからなんだろう。私はまだまだガキなのかな。温くなって炭酸が抜けると尚更不味くなることはわかっているので、ポテトフライをつまみながら無理矢理喉に流し込んだ。早く、大人になりたい。一足先に社会人となった友達は、レモンサワーを飲んで職場の愚痴を吐いていた。それを聞きながら、それでもなお早く仕事がしたいと言い張る私は本当に子どもみたいで、家に帰ってきた今でも、情けないというか、憤りを感じている。

別に今すぐ社会に出て働きたいとは思っていない。ただ、夢も目標も何もなく、漠然と大学生活を送っている自分が嫌なだけ。自分を卑下することが板についた。照りつける朝日に背を向けた。これが助けてくれたことなんて一度もないのに、性懲りもなくまた音楽を再生してしまう自分を、そのまま朝を迎えることを、カーテンが遮った日差しを、覚える、夏。ぐずついているだけの私を、一瞬で追い抜かすのはやめてくれないか。

 

せめて今、この曲が終わるまでは、外が明るくなりませんように。 相対性理論 - ミス・パラレルワールド

 

 

7/20(sat) 下北沢club251 CRYAMYを見た

 

多摩川とその河川敷を横断する、東急東横線多摩川駅新丸子駅間。多摩川駅を出発すると、電車は連結された車体を大きく右に曲げながら茂みのあいだを抜けて、濁った多摩川の上に出る。このときに感じる重力が好きだ。高校生の頃、この河川敷で花火をしたことがある。目の前の手持ち花火が放つ光の明るさはもう忘れてしまったけど、夜にそびえる高層ビルの明かりは確かに綺麗だった。真っ暗な車窓から僅かに見える川の水が反射しているのは、何の明かりなのかな。それが月だったなら、結構ロマンチックかもしれない。でも今日は生憎の曇天。せめて、人工でいいから、プラネタリウムのような美しい光を反射してくれないかな。ライブのあとはイヤホンをつけずに好きな音楽を脳内再生することが多い。このときはちょうど、それがプラネタリウムだった。

 

高校生の頃のことを思い出してしまったのは、この日の昼間に珍しく高校野球を見たせいだろう。三つ下の従兄弟にとって最後の夏らしく、家で中継が流れていた。両親の必死の応援もむなしくベスト8敗退。まあ、仕方がない。お父さんとお母さんはそのままベイスターズの応援に横浜スタジアムに行き、私は少しダラダラしてから下北沢へ。club251、初めて行くライブハウスである。ベースメントバーや下北沢スリーに行くときに通る道にあって、外見は何度も見たことがあるけど入るのは初めてだった。

18時過ぎに着くと、ライブハウスの前に人がたくさんいた。CRYAMYのワンマンライブしかり、PKshampooのリリースツアー新代田フィーバーしかり、最近はこういうシチュエーションが多い。整理番号を呼ばれて中に入ると、前から真ん中くらいまではもう人で埋まっていた。私の整理番号がまあまあ遅かったせいもあるけど、この日の対バンが私でもわかるくらい豪華だったからなんだろうと思う。CRYAMY、Suspended 4th、w.o.d.、No buses。このバンド名の並びだけ威圧感がすごい。普段は目当てのバンド以外は見ないことが多いけど、一番手のCRYAMYを見たら後ろのほうでお酒でも飲みながら後の3バンドをゆっくり楽しもうと思っていた。

 

開演の時間は10分くらい押したのかな。BGMが鳴りやんで(そういえば、最近授業でBGM(音楽)と心の関係についての論文を読んだ。内容というよりは分析の方法とかを勉強するものだったから研究の結果は「だろうな」という感じで大した発見も面白みもなかったし、そもそも研究自体にムラがありすぎて「これどうなん?」という感じだったけど、音楽で人の気分が上がったり心を落ち着かせたりできるのはまあまあ確からしい)、オオモリさんを筆頭にCRYAMYの四人が出てくる。フジタレイさんの金髪が、照明に照らされてすごく綺麗に見えた。四人が出揃うと、いつもの如く耳をつんざくようなノイズが鳴ったんだけど、そこから一向に進まない。カワノさんのギターがトラブっていたみたいだった。スタッフさんの小走りが横目に見えて、こっちまで少し緊張してしまう。そのあとちゃんと音が出て無事一曲目のtenが始まったので安心、途中のMCでカワノさんが「ギター壊れてなくてよかった」と笑っていたのもなんだか微笑ましく思えてしまった。

最近、ライブでの普通の出だしがめちゃくちゃカッコよくて困ってしまう。この日もそうだったんだけど、最初のカワノさんのギターの前になんかカッコいい演奏があって(説明が下手で恥ずかしい。伝わってくれ)、それがもう本当に、すごく良い。そのあとにくるいつものカワノさんのギターがスッと落ちてきて、ピー!という音と同時に一気に突き抜ける感じ、たまらない。カッコいい。カッコよすぎて困る。そのままcrybabyで押し切ったのは力業感があったけど、ステージから客席に倒れ込むカワノさんに引き寄せられるように前方の密度と拳が一気に上がったのは、なんだか気持ちがよかった。この日のCRYAMYはパワーがあるように見えた。私はもう、ただただ圧倒されるばかりだった。

MCを挟んでピンク、物臭。PKshampooのライブで京都線を聴いたときにも思ったけど、物臭とか、月面旅行とか、プラネタリウムとか、そこまでテンポが速くなくても右手を挙げたくなるような曲は、本当に良い曲なんだなぁと思う。カワノさんは「あなたが言うようなそれなりもないよ特別もないし」とマイクに向かって吐き出していた。見もしない知らない"誰か"が言うような"劇的"や"特別"より、いま目の前にいる"あなた"が言う"それなり"を"誰か"にも"あなた"にも歌おうとするサビの歌詞、すごく好き。物臭の歌詞は最強だ…。それなりにも特別にもなれなかった歌詞に綺麗なメロディーがくっついた、この夏一番のヘビロテ曲。結局夏なんて、私にとっては長い長い夏休みがある分惰性に拍車がかかるだけの季節だ。夕方に起きて朝に寝る生活が目に見えている。そんな夏の中で、最大の活動時間となるであろう夜、暑いのに毛布を被る夜、蒸し暑いバイト帰りの夜、お酒を飲んでフラフラのまま家に辿り着く夜、この曲があれば、少しはジメっと纏わりつく空気も美化できるんじゃないかな。少なくとも私はそうだ。底辺大学生の、ここに書けるようなことなんて何一つないダメダメな生活も、そんな夏も、CRYAMYが、物臭が、少しだけ、拾ってくれると思っている。

「俺みたいにならないように幸せになってくださいって言ってたけど、俺みたいに幸せになってくださいって言えるように、幸せになりたい」と言ったカワノさんのMCに、少し胸が熱くなった。そのあと「来るだろうな」と思っていたらやっぱりきた、月面旅行とプラネタリウム。本当に良い曲だ、敵わん…。そういえば、この前の新代田フィーバーでカワノさんは「月になる」と言っていたけど、確かに、CRYAMYは海というよりは月っぽい。じゃあ私は何になろうか。いや、何にもなれないな、私は私か。「笑って息してたらよかったのに」のあとのサビ前で一拍置くところがたまらなく好き。ここまでの歌詞があまりにも赤裸々で苦しい気持ちになるから、一瞬だけ下を向く時間になる。私が死んだらCRYAMYも死ぬかな。少なくとも私の中のCRYAMYは死ぬかな。じゃあやっぱり、死にたくないな。

 

この日のCRYAMYはなんだかすごくカッコよかった。終わったあと、前日も飲みにいったことを考慮して結局控えめにウーロン茶を飲みながらCRYAMYのあとのSuspended4thを見ていたけど、CRYAMYがカッコよすぎて満足したので途中で帰った。あと人がたくさんいたので居心地が悪かった。あとCRYAMYよりもSuspended4thで盛り上がっているお客さんを見るのが嫌だった。

最寄り駅に着いて、やっぱりお酒が飲みたくなってしまったので缶チューハイを買って帰った。これを書きながら飲んでいたけど、どうしても飲み足りなくて、もう一度買いに出る。今月はお金がないというのに。最近の東京は曇り空が続いているけど、次晴れるのはいつだろう。晴れていなくても星空が浮かぶプラネタリウムは、やっぱり優しい曲だ。

 

 

6/28(fri) 下北沢DaisyBar 「crybaby」リリースツアーアンコールワンマンライブ "CRYAMYとわたし。"

 

6月28日の朝、おばあちゃんの訃報を受けたのは遅延している電車をホームで待っているときだった。青森県の最北端に住むおばあちゃんには、最近はもう年に一度会うか会わないかなので、その知らせを聞いても実感が湧かないというのが正直なところ。10分遅れで到着した電車に乗り込むといつもよりかなり混雑していて、湿気のせいもあり私の気持ちはすぐに苛立ちへと変わった。大学生あるあるだと思うけど、遅刻が確定すると急に何もかもどうでもよくなる。学校に着いて、心なしかいつもより少し堂々と教室の扉を開けると、静まり返る室内でちらほらとこちらを向く人がいた。湿気で嫌な匂いがする。この大学は女子しかいないというのになぜこんなに異様な匂いがするんだと思うと、またイライラが増してきた。席に着いてから、バイト先の店長に葬儀のため何日と何日にバイトを休むと連絡を入れて、すぐに机に突っ伏す。諸々の感情が重なって顔を上げていられない。と、言いつつ、考えることは「今日ってライブ行っていいのかな」ということだけだった。

まあ、いいや、だいぶだいぶ悩んだ結果、これを書いているくらいなのでライブには行った。こんな私情は話すと長くなるからそのことはライブの感想とともに少しずつ書き起こしたい。世界一カッコいいバンドのカッコよさとか男らしさも言葉にして伝えないと勿体ない。セットリストはさすがに覚えていなかったのでSNSで「CRYAMY」と検索して拝見させてもらいました。

 

CRYAMY初のワンマンライブとなった「CRYAMYとわたし。」は、19時開場19時45分開演で、比較的スロースタートだった。私は午前中に学校が終わっていたので、一度家に帰ってきて、ご飯を食べて、仮眠(昼寝)をとって、シャワーを浴びる余裕まであった。結局時間がありすぎて逆にゆっくり準備してしまい、一本電車を逃してしまったけど。デイジーバーに着いたのは開場時間の10分前くらいで、もうすでにそこそこの人が集まっていた。ちょうど19時に入場が始まり、整理番号に従って私も中へ。外でドリンク代を払っていたときから聴こえていたんだけど、フロアに入ると結構な音量でバンプの天体観測が流れていて、私はバンプが大好きなので少し、いや、だいぶ気分が上がった。後ろのほうで見るか前のほうで見るか迷っていたはずだったのに、自然と足が前へ前へ動いてしまい、結局前から4列目くらいのところに位置取る。天体観測の他にも、Titleofmine、ハルジオン、ベルなど、アルバム「jupiter」の曲がしばらく流れていた。そのあとに流れた洋楽はほとんど(全部かな)知らない曲だったけど、私はずっと大音量のBGMを聴いていた。そうこうしているあいだに19時40分をすぎ、前にいた女の子がスマホをしまったので私も鞄の中に入れて、ただステージを眺める。それからしばらく、体感では約7、8分ほどで会場の電気が消えた。

 

普段より何倍も大きい拍手が鳴り響く。私の掌もなかなかいい音が出ていた。いつものSEでオオモリさんから順番に登場、と思い込んでいたんだけど、流れてきたのは久石譲のsummerだった(カワノさんのInstagram参照)。なぜか笑えてしまう、楽しい。久石譲が流れただけで楽しい。朝から決していい気分ではなかったけど、私はこの日のライブを2ヶ月前から本当にずっと楽しみにしていたのだ。その音楽に合わせてオオモリさん、フジタレイさん、タカハシさんと登場し、カワノさんを待っていると、どこからか「よろしくお願いしまーす!」という声がした。後ろから聞こえるざわめきに振り返ると、カワノさんが人混みを掻き分けて前に迫ってきていた。驚いたし、笑えたし、なんのサプライズかと思ったけど、いろんな人の手を握ったり抱き合ったりしながら前に進むカワノさんが誰よりもいい顔をしていたので、「今日は来てよかった」ともう既に思ってしまっていた。最前までたどり着いたところで、誰かに担がれながらカワノさんが柵を飛び越える。ステージに立ってギターを持ちそれを鳴らす姿は、今まで見た中で一番カッコよかった。

 

一曲目はtenだった。始まるとすぐにタカハシさんが前に出てきてフロアから伸びる手とハイタッチをしだして、私もしたかったから手を伸ばしたけど一歩間に合わず。でもその手は挙げっぱなしのまま、爆音のギターと心臓まで響くドラム、叫ぶような歌声とタカハシさんのコーラスを聴いていた。良い曲だ。良い曲すぎる。後ろから押されたり隣から押されたりと大変だったけど、お客さんもそれぞれ違う動きをしていたのが、いい意味で一体感がなくてなんとなく安心した。二曲目はsonicpopで疾走感を高めて、三曲目の普通は一気に地を這う力強さを生み出す。それに、自分でもビックリだけど、この曲で私は生まれて初めてレベルの大声でサビの最後の歌詞("見つめるような癖")を熱唱してしまった。冷静になって考えてみれば周りの人に「ほんとすみません…」という気持ちではあるけど、あの爆音の中では私がどれほど大声で歌ったってマイクを通したカワノさんの声が聞こえなくなることはないと思うから多目に見てほしい。私も誰かの何かが思いっきり頭に当たってなかなか痛かったけどそれも多目に見るから。普通の途中で、カワノさんは客席に飛び込んでみんなの上に乗りながら後ろのほうまで行き、見えなくなった頃にまた上から帰ってきた。そのあとのMCで「さっき後ろのほうまで見に行ったけど…、見に行った?けど…」と照れ臭そうに笑っていたのも印象的だった。MCは3、4曲ごとに一回のペースで挟まれていたんだけど、どこでどのMCをしたのかが少し曖昧なので、これは書きたい順番に書く。でも、このときのMCではただひたすら「ありがとうございます」と言っていた気がする。こちらこそ、だ。4/20にやったリリースパーティーと同じで、「言いたいことは先に言っちゃいます」と言ってたくさん感謝を述べていた。こんなに激しく演奏したあとにほっこりした気持ちにさせられたので、気持ちがなかなか追いつかない。そんなMCから話はまた少し変わっていき、四曲目のビネガーは「俺のゲロの味です」と言って始まったので、また気持ちが180度回った。ビネガーはずっとサウンドクラウドで聴いていたので、イントロの「ワン、ツー、スリー」がこの日も頭の中で勝手に聞こえた。良い曲だ。CRYAMYの曲にコメントをするなら、私はもれなく全てに「良い曲」と入れると思う。だって良い曲なんだもん。五曲目の正常位も六曲目のtwistedも全部全部。twistedでのタカハシさんのコーラスが本当に綺麗で大好きなので、もし再録することがあればぜひ入れてほしい。そういえば、MCでカワノさんが「チューニングするからたかしこ喋ってて」と言ってMCをタカハシさんに投げた時、彼は困ったように髪の毛をくしゃくしゃするだけで結局一言も喋らず、カワノさんに「頼むよ~」と嘆かれていて、なんだか微笑ましい光景だった。

 

八曲目はイージリー。この曲は前々日の下北沢近松で初披露だったのかな?カワノさんのサウンドクラウドの中でもとくに好きな曲だ。初めてバンドでのsonicpopや月面旅行、プラネタリウムを聴いたときもそう思ったけど、こうやってずっとカワノさんの歌声とギターだけで聴いていたものがバンドで鳴らされていると、なぜか私が嬉しい気持ちになる。「あなたが仮に不幸になったって~」の部分からのオオモリさんのドラムが好きだった。九曲目のpink、全体的には倦怠感のあるサウンドなのに、間奏でのレイさんのギターは、…なんていうんだろう、こういうときにギターやバンドに詳しければポンと言葉が出てくるのになぁと思う。わかりやすく言えばバチバチで(わかりやすいのか?ニュアンスで感じ取ってほしい…)、わかりにくく言えばナイフみたいだ。pinkはCRYAMYの中でもかなり好き。それぞれの音が気づかないところでパキッと合致しているイメージ。この例えも驚くほどわかりづらいが…。歌詞もセンス抜群。あとタカハシさんのコーラスも良い。私はタカハシさんのコーラスがマジで好きだ。声も綺麗だし。そのあとの雨からのdelayの流れは(安っぽい言葉だけど)さすがに感動してしまった…。delayは、カワノさんが物臭を捧げたダンくんに最後に聴かせた曲だったらしい。ダンくんの反応はイマイチだったみたいだけど、私はすごく好きな曲だ。#3には必ず入れてほしい。必ず。この曲は歌詞を見ながら聴きたい。

 

カワノさんはMCで「今すごく幸せな人はもっと幸せになるように、今すごく不幸な人は少しでも幸せになれるように、不幸でも幸せでもない人はすごく幸せになれるようにする」と、「俺がなんとかするから」と、「俺は男だから言う、俺に任せろ」と、頼もしいセリフを何度も繰り返していた。「今年中に#3を出す」とも宣言していて、その姿はなかなかカッコいい男だった。プラネタリウムでカワノさんがステージの柵を超えてきたとき、「こんな地下のライブハウスで天井を触りながら夜空を歌うのか」と思った。だけど、人工的な星の光は、曇っていたって天井があったって例え地下だってそれを綺麗に作り出せる。CRYAMYで初めて優しい曲を聴いた気がした。優しい曲だ。言わせてもらうが、わたしたちだって、あの場にいたみんな、CRYAMYの幸せを願っている。わたしたちがなんとかするから幸せになってほしい。でも、カワノさんは最初のほうのMCで、ソールドアウトした初のワンマンライブに「普通のバンドは"俺たちはこれじゃ満足しないから~"とか言うのかもしれないけど、俺は満足です」と心底安心したような笑顔で言っていたので、なんか幸せそうでよかった。

 

この日のディスタンスを、私は一生忘れないし、忘れたくない。「死ななくてよかった~…これからみんなになんでもしてあげられる」と、カワノさんは掠れた声でそう言った。またステージから体を乗り出して客席に手を伸ばすカワノさん(4/20のときもそうだったが、この日も幾度となくこういうシーンがあった)、握ったその手はビックリするほど冷たかったけど、強く力を込めて握り返してくれた。「あなたを思って枯らす涙は戻らないけどあなたも戻らないから、ってさ」サビの歌詞はたったこれだけだけど、これだけで十分である。どうとでも解釈できるし、誰にでも伝わる。私はこの曲でもう感情がぐちゃぐちゃになって、白状しますと、次から次へと出てくる涙を(後ろからの圧のせいもあり)目の前にいたお兄さんの背中で拭いた。ごめんなさい。たぶん白いTシャツに化粧ついてます。本当にすみませんでした。次のcrybabyの「自分の心はゴミみたいに思えた」という歌詞は、序盤の普通より私はまた一段と大きな声で叫び散らかしてしまったんだけど、隣からの声も後ろからの声もカワノさんの声も全部フルスロットで聴こえたのでよかった。この辺りからはたぶんもう、後方はわからないけど私がいた前の方はめちゃくちゃで、くちゃくちゃで、壊れた自分の心もゴミ"みたい"なだけであって、でもそれはその後のtenで「そんなんでもいいでしょう」と肯定された気がした。そんなんでいいのだろうか。私はずっと、大人になって立派になって賢くなって優しくなりたかったんだけど、全然なれてないんだけど、こんな私をおばあちゃんは認めてくれるのかな。舌癌になって食べられなくなって喋れなくなって笑えなくなって、それでも私をちゃんと覚えていてくれる、部屋の壁に私の写真を貼っていてくれる、おばあちゃんに、私は一ミリも立派な姿を見せてあげられなかった。「そんなんでもいい」とはやっぱり思えないけど、化粧をした綺麗な寝顔のおばあちゃんを前に、孫の私が娘であるお母さんよりも泣いてしまったことくらいは、「そんなんでもいい」と思っていいかな。涙を堪えるのは得意だと思っていたけど、私は案外泣き虫だったみたいだ。まあ考えてみればライブも私は泣きじゃくりすぎた。強くなりたいね。

 

二度目のtenが本編最後となり、アンコールではテリトリアル、そしてダブルアンコールまで応えてくれて、カワノさんがエレキギターでtenを弾き語りした。さすがに普段の倍以上長い間やっていたのでカワノさんの声も掠れていたけど、その掠れた高音は飾らない綺麗さがあった。一度目のアンコールのあとかな、最後にオオモリさんとレイさんが大きな声で「ありがとう」と言ってくれたのが嬉しかった。こちらこそありがとうございます。#3もフルアルバムもいつか出るかもしれない"名盤"も、ずっと楽しみに待っている。

「物臭」へ

 

月曜日の大学は午後からの二コマ。それも特段苦手な英語の授業が連続でふたつ続いていて、今日はどうしても行く気になれなかった。仕度を済ませ家を出て、電車には乗るものの、結局最寄りの一つ隣の駅で降りて紀伊国屋に向かった。

日差しが暑い。夏が来るのだろうか。そろそろ日焼け止めを買わなければならない。母の日にプレゼントしたシトラスの香りがする日焼け止めスプレー、ちょっとくれないかな。今月はお金がない。今週は二件お誘いがあるけど給料日までは程遠い。お金がないくせに読みたい本はある。期限が切れたZOZOTOWNの支払いを後回しにしてまで飲んだお酒や買ったCDに意味があったのかはわからないけど、誰も肯定してくれないなら自力で意味を見出だすしかないのだ。紀伊国屋で購入した値段分の重さがあるこの大判の新書に、私はそれ以上の重みを感じられるだろうか。そのあと立ち寄ったサンマルクカフェに私は一人で三時間も滞在したのに、一度も本は開かなかった。

 

本を読まない私は言葉を知らなくて、この曲に出会うまで「物臭」の文字には馴染みがなかった。曲名のとおり、出てくるフレーズや浮かぶ情景は後ろ向きで湿った日常。今にもほどけそうな緩い靴紐に気づいたときのような、上着のポケットに入れっぱなしになった十数円の小銭を握ったときのような、小さい憂鬱がいくつもいくつも積み重なって、動けなくなる。本当は全部ここにあるのに、遠く先にある何かを掴まないといけない感覚に陥る。物臭の歌詞はそれがすべて現れている。"本当"というのは汚いけど綺麗なものだし、綺麗に思えるけど実は醜いものだったりもする。結局それを綺麗に映すかどうかは見る側次第で、そんな物臭の歌詞を綺麗だと美化するのも聴き手側、私次第なのだ。私はトイレットペーパーを友達に買ってきてもらうことはないし、買ってもらったテレビを売ったこともない。薬局で缶チューハイは買わないし、その空き缶を灰皿として使いもしない、そもそも喫煙もしない。だけどどうだろう、遊び呆けて朝方に帰宅しても親が鍵を開けておいてくれること、お世話になった先輩に大層な文句を言い付けたこと、友達を裏切ったこと、後輩を妬んだこと、志望校をひとつ落としたこと、学校をサボったこと、バキバキに割れたスマホの画面を修理に出さないこと、ZOZOTOWNの付け払いを払わないこと、買った本を読まないこと。出てくる後悔、憂鬱、怠惰、小さくても積み重なってそれが大きなプレッシャーになる。そうしているうちに些細な苛立ちに蝕まれていって、結局、取り返しのつかないところまできてしまう。物臭の歌詞は、そうやって私が背を向けたところで知らないうちにリンクして、後ろ髪を引っ張られ、引き戻される。こんな日常は綺麗とは言えない。物臭の歌詞は美化できない。聴けば聴くほど、部室が並んだカビ臭い廊下を思い出す。土の匂いが混ざった6月の湿った空気を思い出す。あの時野球部なんて選んでいなければ、私の後悔も少しは取り除けたかな、という、後悔。毎日のように嫌悪や憎悪を抱いた生活は、「最低」以外の何でもない。

でも、物臭には、音楽にはメロディーがある。それが一種のカタルシスというか、とりわけ、物臭はそれが暗い歌詞を良い方向へ導いてくれる。後悔は消えないから後悔だし、簡単に美化できるようなものでもあってほしくない。そんな軽いものを悔やんだつもりはない。それでも、憂鬱は憂鬱のままで、後悔は後悔のままで、それを鳴らすのはポップで優しいメロディー。だから、私は、物臭が綺麗だと思ってしまう。生活は思うように上手くいかない。寒いから見送りに出たくはない。誰かのために動けるような出来た人間じゃない。本当のことは綺麗とは言いがたいけど、本当を歌う歌はすごく綺麗だった。

結局のところ、物臭は良い曲なのだ。愛される歌だと思う。こんなポップソングが、ただ一人に伝わればと願う。歌なんていうのはずっと昔から「君」のことしか言われないし、それも大概が、会えない相手への恋文だし。

 

サンマルクカフェを出た頃にはもう日が落ちていた。物臭のミュージックビデオを見てすぐに帰ろうと思ったが、涼しい気温とまとわりつく湿った風がちょうど良いところで混ざりあっていたので、もう少しだけ歩くことにした。家の近くを通ったところで、街頭の灯りが変わっていることに気づく。オレンジ色の明かりから白っぽい色に変わっていた。誰が、いつ、替えたのだろう。

 

去年の秋、CRYAMYと出会ったとき、その時はまた別の意味で最低の生活をしていた。学校も行かず、バイトばかりで、彼女のいる男の子と遊んで、何も無かった。何も無かったのだ。#2に収録されたディスタンスを初めて聴いたのは10月の終わり頃で、私はその冬をディスタンスと一緒に越したと思っている。長い寒い厳しい冬は、越したのだ。何も咲かない時期はもう終えた。シーズンが開幕する春は嫌いだったけど、CRYAMYのおかげで好きになれた。この春にあったリリースパーティーは、私が冬を越す理由だった。そこで聴いた物臭は、特段綺麗だった。

この、あたたかい、湿った空気を帯びて歩く夏の夜は、物臭と一緒に越せる気がする。明日はちゃんと学校に行こう。音楽療法の授業がある。英語は嫌いだけど、この授業は楽しみにしていたのだ。この夏休みには集中講義も受ける。遠くにある何かを掴みたいから、目の前にあるものから拾っていかなければならない。